富の未来(下)
アルヴィン・トフラー / ハイジ・F.トフラー
2006年6月30日
講談社
2,090円(税込)
人文・思想・社会
急速に変容する現代社会。その本質を鋭く見抜き、経済から社会制度、ビジネスから個人の暮らしまで、激変する明日を描き出す!文明の新しいうねりが世界を覆う。
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後出しジャンケンで15年後の予測を振り返る
2005年に12年をかけて将来予測を行った本書だが、大きく外れてはいない。 中国の躍進、国境の曖昧化と国の力の衰退、知識の重要性など。 日本がもう一度輝けるようになるという予測がズレてしまったのは残念。 技術、製品の発明が重要なのは十分に認識されているが、社会制度、組織を発明した場合、個人が顕彰される例はあまり知られていないとしている。確かに、投資信託の発明家や逓信省の発案者は、エジソンや盛田昭雄ほど知られていない。 特定の用途に使えないクレジットカード、準通貨というのは面白い。既にイスラム教徒向けに風俗店で使えないカードがあるというが、お酒やジャンクフードに使えない準通貨、または買えるものを自分でプログラム可能な準通貨によって、生活の健全化をシステム化できる。 農作物から燃料や有機化学品を生成する技術が勃興している。将来的に多くの燃料を農作物で賄えるようになれば、農業が工業より重要になる。また、農場の近くにこれらの加工を行う工場ができるようになり、すなわち農村に二次的農業とも呼べる産業が出現する。都市への集中を抑制し、グリーン問題を緩和する糸口になりえる。 世界を変えるには、技術の開発は容易な部分であり、その他の障害のほうが困難。伝統や教育の普及、エネルギー不足(インフラ不足)は大きな障害になる。 第二の波が、300年もの間、多くの戦争や経済的な混乱文明の変更が起きても止まらなかったのは、それが技術や経済だけの動きではなく、社会、政治、哲学の要因が絡んで生まれた津波だったため。 第二の波によって経済中心の世界になった。 第三の波が、第二の波と同様の津波になれるかどうか。著者は、第二の波の経済にとって代わって知識の重要性が増すことで、文化や宗教、倫理が世界の中心に戻り、経済はシステムの一部に戻ると述べる。 つまり第三の波が津波になるために、技術は必要であるが、それは必要な最初のパーツであるだけであり、第三の波全体としては文化全体にわたる変化となる。
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