
一瞬の風になれ 第一部
佐藤 多佳子
2006年8月31日
講談社
1,540円(税込)
小説・エッセイ
「速くなる」 ーーただそれだけを目指して走る。 白い広い何もない、虚空に向かって……。 春野台高校陸上部。とくに強豪でもないこの部に入部した2人のスプリンター。ひたすらに走る、そのことが次第に2人を変え、そして、部を変えるーー。「おまえらがマジで競うようになったら、ウチはすげえチームになるよ」思わず胸が熱くなる、とびきりの陸上青春小説、誕生。 第28回吉川英治文学新人賞受賞 2007年本屋大賞受賞
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もこりゅう
いろいろな人に勧めたくなる最高の青春小説であり、スポーツ小説である。
2007年本屋大賞受賞をした本作、帯に「王様のブランチ云々、、」と書いてあるところに、ちょっとイラッとしながら読んだ。しかし、そんなイラッとした気持ちも、読んでいるうちにどこかへ吹っ飛んだ。いろいろな人に勧めたくなる最高の青春小説であり、スポーツ小説である。 主人公の神谷新二は、兄への憧れから中学までサッカーをやっていた。しかし、自分の才能に限界を感じる。同じ高校に入った親友の一ノ瀬連の走りを見た新二は、共に陸上部に入ることを決意。そしてはじまる、新たな「陸上」というスポーツの物語。 この物語は、すべて新二の視点で語られるのだが、この新二ってヤツが小憎らしいほどピュア。何においても「走りたい」という気持ちが先行する描写が多かったり、女性関係に意外とウブだったり、家族に友達に先生に愛があふれていたり。サワヤカ三組な高校生である。それに加えて、春高陸上部という、高校生の部活ならではの青春も描かれるてしまうのだからこりゃ大変。もう、端々で涙ぐんでしまうようなエピソードが盛りだくさん。先輩の引退、先生の過去、同級生の恋、他校のライバル、赤い老婆、古い洋館、きたない犬、あやしい肉屋。。。後半は冗談だが、とにもかくにも、すべてのありとあらゆる青春エピソードがこの作品の中に収められているといっても過言ではない青春小説である。 陸上競技自体も単なる味付けの枠にとどまらない。特にその競技の描写。短くあっさりしていながら、ずっしり心に響く、見事な描き方である。実際に走っている時間のような、リアルな長さ、感情。読んでいて走りたくなってしまう。 キャラクターの造形も秀逸。特に、三輪先生かっこよすぎ。あんな先生になりたいよ。学生はみんな、年相応にませてて、それでいてピュアで。 三輪先生曰く「下半身に強烈なバネがあって、球技が苦手なタイプはスピード競技で大成するんだ。」とのこと。そ、そうなのか、、小学生の頃はモテるほど足が速かったおいら(小学生のときって、基本的に足が速い人がモテる法則がある)。でも、中学生のころの野球部では3年間で3試合しか出れなかったベンチ裏がポジションのおいら。陸上やっていれば何かあったかもしれないなぁ。。中学のとき、自慢じゃなくないが、ロードリレー(駅伝みたいなやつ)の学校代表だったしなぁ。。 ラストはようやくスタートラインに立ちました、ということだよね。人生としてのかもしれないし、陸上選手としてのかもしれない。「ばーか、まだはじまっちゃいねーよ。」的な終わり方。おいらとしては、最後は尻切れトンボなイメージ。次の大会の4継のスタートで終わりってのがよかったと思う。スタートを知らせる号砲。みんな風になれ。一瞬の風に。的な終わり方が。この終わり方がスッキリしなかったので、星4つどまり。なんというか、途中は「よんでるぞー!」という気分なのに、最後は「よんだぞー!」とならなかった。惜しい、実に惜しい。もう、小数点ありだったら、4.8くらいだな。 ところで、本屋大賞に選ばれる作品って、なんか傾向が似てる気がする。2004年が「博士の愛した数式」、2005年が「夜のピクニック」、2006年が「東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜」、そして2007年が「一瞬の風になれ」。なんつーか、「青春」「愛」「1人称」がキーワード??うーん、これだと当てはまる小説が無数にあるなぁ。。でもなんか、傾向が似てるっつーか。人が殺されないとか?日常をえがいているとか?
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