この冬の私はあの蜜柑だ

片岡義男

2015年11月18日

講談社

1,870円(税込)

小説・エッセイ

生きる切なさと夏の終わりのあの娘の涼しげな横顔。 思い止めていた告白が世界を変えていたかもしれなかったあの日。 そんなことを片岡義男さんの本を読むと思い出させてくれます。                              --岡村靖幸(ミュージシャン) 片岡さんの小説はなんでこんなにクセになるのだろう。 この物語のなかでずっと生きていきたい。そんな叶わぬことを思ってしまった。                              --窪美澄(作家) 西条美樹子と倉田明彦は高校の同級生。転居通知の葉書をきっかけに再会する。 高3の夏、水着姿で自転車に乗った美樹子が、葡萄味のアイスキャンディーを差し出したことを、 明彦は今もはっきりと覚えている。(「愛は真夏の砂浜」) 作家の矢吹優美子がひとり暮らしを始めた一軒家には、掘り炬燵が備え付けてあった。 友人の景子は、炬燵に入りに来る男性を口説くべきだと言う。 優美子はかつての同級生で俳優の修司に電話をすることに。(「この冬の私はあの蜜柑だ」) かつての同級生、兄と妹、客と店員、編集者と作家、元夫婦。 都市の一角ですれ違い、向き合い、別れていく男と女の姿を、研ぎ澄まされた文章で、譜面に音楽を刻みつけるように描く。 音楽、スニーカー、ラジオ……あるテーマを出発点に想像力が鮮やかに紡ぎだす、魅惑の9篇。 「愛は真夏の砂浜」 「いい女さまよう」 「銭湯ビール冷奴」 「春菊とミニ・スカートで完璧」 「フォカッチャは夕暮れに焼ける」 「ティラミスを分け合う」 「あんな薄情なやつ」 「蛇の目でお迎え」 「この冬の私はあの蜜柑だ」

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