
もの忘れの脳科学
ブルーバックス
苧阪 満里子
2014年7月18日
講談社
880円(税込)
ビジネス・経済・就職 / 人文・思想・社会 / 新書
買い忘れをする、知人の名前が思い出せない、電話をしたのに、肝心の要件を忘れてしまう……。 多くの人が一度は経験したことのあるだろう「もの忘れ」。これは、けっして老化や認知症のサインだとは限りません。 日常によくあるもの忘れの多くは「ワーキングメモリ」という、記憶システムをうまく使いこなせないことが原因だと考えられています。ワーキングメモリとは、目的を達成するまでの間、必要な情報を必要な間だけ、脳にとどめておくシステムです。認知症におけるもの忘れはワーキングメモリがうまく使いこなせないというレベルにとどまるものではありません。また、認知症には原因となる疾患があり、アルツハイマー型にみられる神経細胞での異常タンパク質の蓄積などの病変があり脳の病気といえます。 では、たとえば買い忘れはなぜ起きるのでしょうか。買い忘れをする場合、買い物に行く途中で友人と出会って話に夢中になったり、買い物をしている間に新たに欲しいものを見つけたりといったことがあるからではないでしょうか? ワーキングメモリの容量には限界があります。私たちは無限にものを記憶することはできません。ところが、憶えなければいけない事は絶え間なくでてくるので、不必要な情報を正しく判断して適宜消去していくことが必要です。どの情報を活性化させようか、どれを消去しようかとワーキングメモリがはたらいている時に他のことが起きると注意がそれてしまいうまく働かず、必要な情報を記憶から引き出せないという事態が起きます。 著者達が開発した記憶容量を測るテストを用いた調査によると、成績のよい人はたくさんのことを憶えているのではなく、必要な情報にだけうまく焦点をあわせていたことや語呂合わせなどの工夫をして、ワーキングメモリの負担を軽減していることが分かりました。 もの忘れは、決して記憶力そのものが低下したからではなく、自分の記憶システムをうまくつかいこなせないために起こると言えます。 日々の生活を支えるワーキングメモリの機能を健やかに保つ方法は、私たちの生活の中にこそあります。 ワーキングメモリの仕組み、またうまく使いこなし健やかな脳の活動を保つにはどうすればよいのかを、最新の脳科学、神経心理学をもとに第一人者がくわしく解説します。
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