知の教科書 スピノザ

講談社選書メチエ

チャールズ・ジャレット / 石垣 憲一

2015年1月10日

講談社

1,925円(税込)

人文・思想・社会

17世紀のオランダの生んだ大哲学者・神学者スピノザの著作は、その進歩的思想により、刊行当時禁書とされました。 18世紀後半になると、「汎神論論争」が起こり、スピノザの評価が大きく変化します。ヘーゲルは、スピノザがあらゆる哲学の出発点となったと宣言し、ニーチェはスピノザに先駆者の姿を見出しています。二〇世紀、フロイトやラッセル、アインシュタインもスピノザを評価しています。二〇世紀後半には、スピノザ・リバイバルが起こります。これはフロイデンタール、ゲプハルトらによる初期の歴史研究、原典研究に依っています。バリバール、ネグリ、ドゥルーズなどの現代思想家たちも影響を受けています。スピノザの思想の重要性は、現代において増大しています。 しかし、スピノザの思想は、ハードルの高いものです。というのもスピノザの思想は、形而上学、精神哲学、認識論、倫理学、政治哲学といった哲学的主題から、宇宙論や心理学、物理学までと幅広いこと。そして主著『エチカ』は、中世後期のスコラ哲学の語彙で書かれ、「幾何学的な秩序で」提示されることからも、大変難解です。 本書では、スピノザの生涯と思想形成をたどり、『エチカ』『神学政治論』『国家論』といった主要著作の概要がつかめるように、おおきくまとめて語られます。スピノザ入門(初級・中級)の決定版です。 序文 第一部 はじめに 第一章 一七世紀のオランダ 第二章 スピノザの生涯と思想 第三章 知性改善論 第二部 『エチカ』を読む 第四章 『エチカ』概論 第五章 『エチカ』第1部 神について 第六章 『エチカ』第2部 精神と認識について 第七章 『エチカ』第3部 感情について 第八章 『エチカ』第4部 倫理について 第九章 『エチカ』第5部 精神の力と至福について 第三部 政治的著作について 第一〇章 『神学政治論』 第一一章 『国家論』 追記 スピノザが与えた影響について 注釈 参考文献 索引

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Shuhei Tatsumi

エチカ原典とセットで読むのが前提

starstarstar 3.0 2021年12月04日

本書をこれ単独で通読することは、作業的な意味で辛い、と言わざるを得ない。カッコ書きや、殆ど意味の無い反復が極めて多く、とてもではないが洗練された文章構成ではないため、度々読み疲れを感じるという理由がある。 しかし、エチカ原典と本書を同時に開き、箇所を対照しながら読むと、役に立つように思う。本来そのような使い方が望ましいだろう。 また、スピノザに限らずこのあたりの哲学書全般は、ほぼアリストテレス哲学の基礎部分を理解できていないと読めないが、各所で不必要なくらいにその説明が入っている点では入門的である、と評価できる。さらに時々、他の西欧哲学者との思想の比較を、地政学的文脈まで踏まえて描いている点については、なかなか良い材料だと思う。 本書序文には「哲学そのものについて全く予備知識がない読者も対象とする」とあるが、哲学そのものについて全く予備知識がない読者が、本書を読んでスピノザ哲学が理解できるかは、総評として余り自信がない。

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