
意外に日本人だけ知らない日本史
講談社+α新書
デュラン れい子
2009年7月22日
講談社
963円(税込)
人文・思想・社会 / 新書
“世界は知っていて、日本人はあまり知らない” デュラン・れい子第3弾。世界不況のおかげか、日本と世界の距離は縮まっているが、それでも届かない一般大衆の声を、ノーベル賞から婚活まで、縦横無尽に綴る!
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(無題)
題名からは、新たな視点による日本史に触れることが出来るのかと期待しましたが、中身は国際結婚をした普通のおばさまのゆるーいエッセイです。例えば『ともかく名前も知らなかった日本という小さな国が、長年私たちを苦しめていた、あの残忍で強いロシアを破ったんですから、私たちチェコ人は驚いたものです。だから子供のころの私は、日本が怖かった』とあります。日露戦争の日本の勝利にチェコ人はこのように感じたようです。ロシアの南下政策に苦しまされていたトルコの人々はどう感じたのでしょうか。彼らは大喝采を持って日本の勝利を歓迎するとともに、大変な親日家になりました。数十年後のイラク危機にトルコは、イラク国内に残された日本人救出に特別機を飛ばすほどでした。 こんなことは本書には書かれていませんが、本書タイトルに見合ったお話は、第一次大戦後の講和会議で人種差別廃止を日本が提唱した、ということぐらいです。このことに対してフランスは賛成したが、イギリス・アメリカなどの反対で国連の条文に取り入れられることはできなかった、人種差別撤回を最初に提唱したのは日本だ、という事実は確かに知られていませんね。後はヨーロッパ在住の日本人による比較文化論ですね。 人口減少は先進国共通の減少ですが、我が国は少子高齢化と事態は一層深刻です。フランスにあって人口減少は比較的早い時期から表面化し、頭を痛めた政府は人口増のために移民政策をはじめとする政策を打ち出しました。我々日本人は、自由や個人主義を尊重した結果、もたらされた人口減はそうそう盛り返す事は出来ないだろうと、半ば対岸の火事を見るように眺めていましたが、ある種の政策が奏功して今ではフランスは人口増に転じているんですね。その政策とは、男女がカップルになることによる税制上の優遇措置です。これは婚姻ばかりか同棲でも構いません。この結果生まれた子供は、実子、婚外子の区別なく政府の優遇措置を受けられます。すでに婚外子が半数を超えているようです。 結婚というカップルのあり方に固執する日本と、愛情を優先して男女の社会的なあり方にこだわらないフランスとどっちがどっちがなんでしょうね。これを性の奔放さあるいは事由という観点から見ると、見誤るようです。婚外子を嫌っていながら、不倫は文化などと平然と主張する日本ってなんなんだろうという気がします。不倫は男だけのことではありません。相手をする女がいて不倫は成立するのですからね。日本の若い女性は、まず相手の収入を知ってからでないと恋愛感情がわかない、と著者は指摘しますが、皆さんはどう思いますかね。
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