蒼穹の昴 4

講談社文庫

浅田 次郎

2004年10月31日

講談社

781円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

人間の力をもってしても変えられぬ宿命など、あってたまるものかー紫禁城に渦巻く権力への野望、憂国の熱き想いはついに臨界点を超えた。天下を覆さんとする策謀が、春児を、文秀を、そして中華四億の命すべてを翻弄する。この道の行方を知るものは、天命のみしるし“龍玉”のみ。感動巨編ここに完結。

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ほーく

(無題)

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4.3 2020年09月13日

世界で最も長く続く中国の真髄を感じた作品。科挙の試験で許可を得た進士が支え、皇帝が世を治める伝統的な国家であった。だが長年に守られてきたその仕組み。しかし、そんな中国も世の中の列強進出、富国強兵、そしてグローバル化の流れには逆らえなかった。 そして、その変革の中心を生き抜き、なんとかして国を変えていこうとした人々の激しい生き様を描いた最終回はそれぞれの想いが錯綜する、とても刺激的な物語であった。 ○李春雲(チュンチュン) 春児(チュンル) まずは、この物語の主人公。クソ拾いから最終的に、西太后 老仏爺のもと、最も地位の高い官民のくらいまで上り詰めた。彼の人を惹きつける優しさ、誠実さ、そして時々見せる故郷での若かりし頃のあどけなさがとても素晴らしい。途中2人を見届ける際に、船に宝をたくさん積んで、登場したシーンはとても格好良かった。前のように家族を迎えにいくようには行かなかったが、それでも有言実行した、貫いたこれの生き様はすごい。 最後のクライマックスでも、西太后 老仏爺から龍玉のかけらをいただき、その時に見せた笑顔、そしてお告げの力でないことを知った上で自ら運命を切り開いた彼に感服の銘を申し上げたい。 ○梁文秀(ウェンシュウ) 史了(シーリヤオ) 1番の苦労者で、その努力と熱意、そして難しい道を選び生きることを選んだその勇姿がとても目に見張る。揚先生が亡くなった時も動揺することなく、そして的確に新政治体制を築き上げていった。しかし最後の最後で、失敗をしてしまい、1度は死を覚悟する。それでも、春児やタンストンの説得で生きることを選んだ。日本に亡命をしたのだ。暴力を振るってしまう場面は彼の置き場所のない悔しさ、悲しさ、そして怒りを表していて、読んでいるこちらまで鳥肌が立った。それでも何とか自分を保ち、リンリンとともに今後の人生を有意義に歩んでくれることを祈る。 ○玲玲(リンリン) “絶対に泣きません” 昔文秀と誓い合ったこの約束を最後の最後まで貫き通す。そして真摯に何があっても彼を支え続けたリンリン。真実の愛の正体を見させていただいた気がした。目の前で許嫁が殺される。そして目を逸らさずにそれを見送るといった心の強さがある一方で、今まで他人のために生きてきた人生。これからは文秀と共に自分のためにも生きていける、そんな人生を送って欲しいな。 ○光緒帝ツァイテン 少し立ち位置がわからなかった皇帝。 最後の最後まで、聡明さを伴いながらも自身の思うようにやってしまい、周りを巻き込めなかった。少し過信のあるが、それでも真っ直ぐな皇帝であった。 ○順桂(シユンコイ) 親王との約束のもと、家族を犠牲にしてまでも西太后 老仏爺を暗殺しようとした進士。最期に当たり爆弾を自分の身で隠し、被害を最小限に留めようとした彼の潔さに敬服。 ○王逸(ワンイー) 彼の天命は龍玉を護ること。死を目前に逃げ出すことのできた彼の旅の終着点は、1人の少年の家庭教師。しかしその名は毛沢東。今後のからの活躍が楽しみだ。 ○タンストン この物語で最も誠実で、そして自己犠牲の精神を携えた心強気若者。少々異質な性格を持っているところもあったが、ユアシイカイと語り合う場面や処刑をされる場面での眼力の強さ、己の運命を悟り行動できるその力強さは誰にも真似ができない。そして、なんといってもリンリンへの無償の愛。彼の紡ぐ一言一言は正直で、偽りがなくそして温かい愛に包まれている。僕自身は彼に生きていて欲しかったが、次の世代のために犠牲になった彼のその聡明さをたたえたい。彼の人生に負けないぐらい胸を張れる何かを成し遂げたい。 ○岡、柴五郎、トーマス、ミセスチャン 物語をより盛り上げるための報道記者たち。 海外の列強の存在を最も身近に感じさせた、そして中国を植民地としてではなく、一つの国としてあるべき姿を明らかにしようとする彼らの仕事ぶりにはとても胸を打たれた。 ○白太太 この物語のキーパーソン。ところどころで神託を伝え、そして人々の運命を動かしていく。その言葉の、言霊の力の強さにとても心が動かされる。 ○栄禄(ロンルー)、ユアシイカイ 最終的には勝者となった戦略もの。 正直者が勝つ、勧善懲悪を想像していた僕には衝撃的な結末であった。これからの中国の将来が不安になりつつも、それでも一計を謀りそれを成功させた2人はある意味では暗躍者なのかもしれない。しかし私には絶対に真似ができない、模倣をしたくない人生。僕は正しく生きる、正攻法でこれからも人と向き合っていきたい。 ○蘭琴(ランチン) 最期目を自分で潰してくれと言うほどの悲しみに打ちひしがれる彼。何を得たのだろう。それでも去勢を行ったところで諦めず、人生を貫いた彼に称賛を贈りたい。 ○西太后 老仏爺(シータイホウ ラオフォイエ) 結局また政治の世界に戻ってきてしまった悲劇のヒロイン。彼女も決して、進士や光緒帝をすみに追いやりたいわけではなかった、状況が周りのこざかしいものたちがそのようにさせてしまった。これからの彼女の人生を思うととても同情がしたくなる。それでも堂々とし続ける彼女の美しさ、そして淡麗さ、人としての強さは尊敬に値する。

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ほーく

(無題)

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4.3 2020年02月19日

世界で最も長く続く中国の真髄を感じた作品。科挙の試験で許可を得た進士が支え、皇帝が世を治める伝統的な国家であった。だが長年に守られてきたその仕組み。しかし、そんな中国も世の中の列強進出、富国強兵、そしてグローバル化の流れには逆らえなかった。 そして、その変革の中心を生き抜き、なんとかして国を変えていこうとした人々の激しい生き様を描いた最終回はそれぞれの想いが錯綜する、とても刺激的な物語であった。 ○李春雲(チュンチュン) 春児(チュンル) まずは、この物語の主人公。クソ拾いから最終的に、西太后 老仏爺のもと、最も地位の高い官民のくらいまで上り詰めた。彼の人を惹きつける優しさ、誠実さ、そして時々見せる故郷での若かりし頃のあどけなさがとても素晴らしい。途中2人を見届ける際に、船に宝をたくさん積んで、登場したシーンはとても格好良かった。前のように家族を迎えにいくようには行かなかったが、それでも有言実行した、貫いたこれの生き様はすごい。 最後のクライマックスでも、西太后 老仏爺から龍玉のかけらをいただき、その時に見せた笑顔、そしてお告げの力でないことを知った上で自ら運命を切り開いた彼に感服の銘を申し上げたい。 ○梁文秀(ウェンシュウ) 史了(シーリヤオ) 1番の苦労者で、その努力と熱意、そして難しい道を選び生きることを選んだその勇姿がとても目に見張る。揚先生が亡くなった時も動揺することなく、そして的確に新政治体制を築き上げていった。しかし最後の最後で、失敗をしてしまい、1度は死を覚悟する。それでも、春児やタンストンの説得で生きることを選んだ。日本に亡命をしたのだ。暴力を振るってしまう場面は彼の置き場所のない悔しさ、悲しさ、そして怒りを表していて、読んでいるこちらまで鳥肌が立った。それでも何とか自分を保ち、リンリンとともに今後の人生を有意義に歩んでくれることを祈る。 ○玲玲(リンリン) “絶対に泣きません” 昔文秀と誓い合ったこの約束を最後の最後まで貫き通す。そして真摯に何があっても彼を支え続けたリンリン。真実の愛の正体を見させていただいた気がした。目の前で許嫁が殺される。そして目を逸らさずにそれを見送るといった心の強さがある一方で、今まで他人のために生きてきた人生。これからは文秀と共に自分のためにも生きていける、そんな人生を送って欲しいな。 ○光緒帝ツァイテン 少し立ち位置がわからなかった皇帝。 最後の最後まで、聡明さを伴いながらも自身の思うようにやってしまい、周りを巻き込めなかった。少し過信のあるが、それでも真っ直ぐな皇帝であった。 ○順桂(シユンコイ) 親王との約束のもと、家族を犠牲にしてまでも西太后 老仏爺を暗殺しようとした進士。最期に当たり爆弾を自分の身で隠し、被害を最小限に留めようとした彼の潔さに敬服。 ○王逸(ワンイー) 彼の天命は龍玉を護ること。死を目前に逃げ出すことのできた彼の旅の終着点は、1人の少年の家庭教師。しかしその名は毛沢東。今後のからの活躍が楽しみだ。 ○タンストン この物語で最も誠実で、そして自己犠牲の精神を携えた心強気若者。少々異質な性格を持っているところもあったが、ユアシイカイと語り合う場面や処刑をされる場面での眼力の強さ、己の運命を悟り行動できるその力強さは誰にも真似ができない。そして、なんといってもリンリンへの無償の愛。彼の紡ぐ一言一言は正直で、偽りがなくそして温かい愛に包まれている。僕自身は彼に生きていて欲しかったが、次の世代のために犠牲になった彼のその聡明さをたたえたい。彼の人生に負けないぐらい胸を張れる何かを成し遂げたい。 ○岡、柴五郎、トーマス、ミセスチャン 物語をより盛り上げるための報道記者たち。 海外の列強の存在を最も身近に感じさせた、そして中国を植民地としてではなく、一つの国としてあるべき姿を明らかにしようとする彼らの仕事ぶりにはとても胸を打たれた。 ○白太太 この物語のキーパーソン。ところどころで神託を伝え、そして人々の運命を動かしていく。その言葉の、言霊の力の強さにとても心が動かされる。 ○栄禄(ロンルー)、ユアシイカイ 最終的には勝者となった戦略もの。 正直者が勝つ、勧善懲悪を想像していた僕には衝撃的な結末であった。これからの中国の将来が不安になりつつも、それでも一計を謀りそれを成功させた2人はある意味では暗躍者なのかもしれない。しかし私には絶対に真似ができない、模倣をしたくない人生。僕は正しく生きる、正攻法でこれからも人と向き合っていきたい。 ○蘭琴(ランチン) 最期目を自分で潰してくれと言うほどの悲しみに打ちひしがれる彼。何を得たのだろう。それでも去勢を行ったところで諦めず、人生を貫いた彼に称賛を贈りたい。 ○西太后 老仏爺(シータイホウ ラオフォイエ) 結局また政治の世界に戻ってきてしまった悲劇のヒロイン。彼女も決して、進士や光緒帝をすみに追いやりたいわけではなかった、状況が周りのこざかしいものたちがそのようにさせてしまった。これからの彼女の人生を思うととても同情がしたくなる。それでも堂々とし続ける彼女の美しさ、そして淡麗さ、人としての強さは尊敬に値する。

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