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日曜日たち
講談社文庫
吉田 修一
2006年3月15日
講談社
550円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
ありふれた「日曜日」。だが、5人の若者にとっては、特別な日曜日だった。都会の喧騒と鬱屈した毎日のなかで、疲れながら、もがきながらも生きていく男女の姿を描いた5つのストーリー。そしてそれぞれの過去をつなぐ不思議な小学生の兄弟。ふたりに秘められた真実とは。絡みあい交錯しあう、連作短編集の傑作。
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(無題)
外で読んで、外で号泣した。 一組の兄弟と、二人に関わりながら特別な日曜日を生き抜いた五人の話。リアルだった。こういう人達が本当にいて、なんとか一日を生きようとしてて、その中で少しだけ特別な日曜日を迎えることがある気がした。 日曜日のエレベーター→粉雪のような。サラサラしてて、煌めいて綺麗で、それでいて触れたら溶けてしまう。彼女は夢を叶えて、僕はあの日で止まったまま。日曜日がターニングポイントになったけど、どっちが幸せ、とかそういうのではない。理解はしてるのに体が付いてきていない。だから僕は、エレベーターは10階で止まる気がしたんだと思う。 日曜日の被害者→「何もされないのがちょっと可哀想だと思った」この一言に集約されてる。純潔への軽蔑と憧れ。微妙なバランスで成り立っていた二人のターニングポイント。 日曜日の新郎たち→三人の新郎の、現実と柔らかい夢の話って感じ。結婚するって他人と一生暮らすって事で、物理的な距離って心理的な距離と比例するから、心も一生同じ所にいるって事なんだよね。すごい特別で、大切な事だと思う。心の半分を今まさに見つけた人と、半分だけでなんとか生きようとする人と、無くなった半分を未だに探し続ける人。それぞれの形がある。それが狭い狭い一室に集い、それぞれの想いが舞う。ひと部屋だけ切り離されたまさにスノードーム。 日曜日の運勢→「太陽ってさ、見つめすぎると、何も見えなくなるのな」このセリフが、透明で鋭利ですごい胸に残った。苦しいくらいの焦燥感がある。でも、こういう生き方もいいんじゃないかな。断れなくてふらふらしてたって、自分を愛せるなら良いと思える。 日曜日たち→少しづつ主人公と交差して、特別な日曜日を生き抜いた二人の話。彼氏と、自分の生き方から飛び出すターニングポイントを迎えた主人公が、勇気の連鎖を繋げてく。兄弟は離れ離れになっちゃうけど、命のターニングポイントになった私の事をずっと覚えてる。兄弟と私が喋ったのは、私が兄に聞いた「覚えてるの?」だけだけど、三人は星座みたいに、目に見えない綺麗な模様を書きながら生きてたのね。
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