密室殺人ゲーム王手飛車取り

講談社文庫

歌野 晶午

2010年1月15日

講談社

880円(税込)

小説・エッセイ

“頭狂人”“044APD”“aXe(アクス)”“ザンギャ君”“伴道全教授”。奇妙なニックネームの5人が、ネット上で殺人推理ゲームの出題をしあう。ただし、ここで語られる殺人はすべて、出題者の手で実行ずみの現実に起きた殺人なのである…。リアル殺人ゲームの行き着く先は!?歌野本格の粋を心して堪能せよ。

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歌野晶午「密室殺人ゲーム王手飛車取り」

<頭狂人><044APD><aXe><ザンギャ君><伴道全教授>というハンドルネームを持つ五人のメンバーが、インターネット上で推理ゲームを行う、という趣向の作品です。 彼ら五人は、ウェブカムの映像で自分の姿や声を双方向通信で送りながら、夜な夜な集まっては推理ゲームを繰り広げている。 しかし彼らの推理ゲームは一つ大きな特徴がある。 それは、出題者=犯人、ということだ。つまり彼らは、実際に犯罪を犯し、それを問題にしている。回答者は、ネットやテレビ、あるいは自らの足で情報を集めながら、出題者=犯人の出した謎を解いていく。 <aXe>の問題は、「次は誰を殺すか」というもの。ミッシングリンクもので、繋がりがあるようには見えない何人もの人が殺されて行く事件の繋がりを見つける問題。犯行現場には常に、犯行時刻とはまったく違った時間で止まっている時計が存在し、また謎めいた謎掛けのような文章も残っている。 <ザンギャ君>の問題は、「いかにして死体を運び出したか」という密室のようなもの。ある部屋で花瓶に生首が載せられた状態で見つかったのだけど、そのアパートの前は深夜まで工事中だったにも関わらず、誰も胴体の部分が入るような大きな荷物を持った人間を見かけていない、という謎。 <伴道全教授>の問題はアリバイトリック。静岡県の浜名湖付近で殺人事件が起こったのだけど、<伴道全教授>はベトナムにいた。飛行機の時間を考えると、どうやっても犯行時刻までに戻ってくることは不可能。いかにして犯行を成し遂げたのか…。 <044APD>の問題は三重密室。セキュリティが完璧だと謳われた「とよなかやすらぎが丘」は、周囲を壁で覆い、出入口は制限され、警備員が巡回し、各戸にホームセキュリティが常備してあるという物件だったのだけど、その「とよなかやすらぎが丘」に住む住人の一人が殺害された、という謎。 <頭狂人>の謎は、何が謎なのかが分からないところがまず謎というところでしょうか。 彼らは日々殺し、そして日々謎を解き…。 というような話です。 ムチャクチャな設定ではありますけど、なかなか面白い作品だと思いました。というか、歌野晶午らしいですね。 推理ゲームを出すために実際に事件を起こすというのは、なかなかトリッキーですけど、推理小説としてはなかなか面白い趣向だと思いました。何故なら、推理小説の場合ヒントは作者の文章に隠されているわけですけど、本書のような設定の場合、まず何がヒントなのかという部分が判然としないんですね。ネットやニュースで拾ったものや、自分の足で稼いだものがヒントに「なるかもしれない」(まあ、読者の立場としては、ネットやニュースで拾ったものだろうが、登場人物が足で稼いだものだろうが、どれも作者の書いた文章なんだけど、受け取り方としてなんか違うなという気がしました)。そういう、これまでの推理小説とはヒントの提示のされ方の違いみたいなものがなかなか面白かったなという感じです。 個々のトリックはさほどでもないと思わせるものもありましたけど、でもこれがうまいもので、さほどでもないという部分に理由がちゃんとあったりするんですね。それぞれのキャラクターが、何故そういう犯罪をしたのか、みたいな性格的な部分がうまく反映されていて、なるほどと思える部分が結構ありました。ストーリー自体というよりも、それを覆う大きな設定に素晴らしさがあるというような感じです。山本弘の小説に、「アイの物語」というのがあるんだけど、短編小説をさらに大きな括りで覆うという設定は似ているなという感じがしました。 話としては、<ザンギャ君>の生首の話と、<044APD>の三重密室の話が面白かったなと思いました。生首の話は、一部トリックはわかりましたけど、やはり完璧というわけにはいかなかったですね。三重密室の方は、『出題者が現実に犯罪を犯している』という設定がうまく目眩ましになっていたなぁという気がしました。 最後の最後に<頭狂人>が仕掛けたゲームがどうなったのか気になるし、本書の続刊も発売されているんでそっちも気になります。続刊の方は、今年度の本格ミステリベストで1位になったとかで、そっちも読んでみたい感じがします。 歌野晶午らしいおかしな小説だなと思います。本格ミステリが好きという人には結構楽しめると思いますけど、本格ミステリはそこまで好きじゃないという人は読まなくていいと思います。しかし相変わらず変な小説書くなぁ、この作家。

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みんなのレビュー (1)

taboke

starstarstar 3.0 2020年01月08日

(無題)

面白い。最後が強引。

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