箱の中

講談社文庫

木原 音瀬

2012年9月30日

講談社

957円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

痴漢の冤罪で実刑判決を受けた堂野。収監されたくせ者ばかりの雑居房で人間不信極まった堂野は、同部屋の喜多川の無垢な優しさに救われる。それは母親に請われるまま殺人犯として服役する喜多川の、生まれて初めての「愛情」だった。『箱の中』に加え、二人の出所後を描いた『檻の外』表題作を収録した決定版。

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長江貴士

書店員

木原音瀬「箱の中」

--
1
2019年12月15日

みんなのレビュー (4)

Readeeユーザー

(無題)

starstarstar 3.0 2021年11月20日

 異色のBLだと思う。  痴漢の冤罪で収監され何もかもを奪われ、人間不信に陥るまでに至った堂野が喜多川の不器用な優しさによって救われるというストーリー。そして愛を知らずに育った喜多川のうちにも堂野に触れることで次第に愛情が芽生えていく。あらすじを書いてしまうととてつもなく通俗的な気がしてしまうが、感情の機微が非常に事細かに描かれている。代償を求めない愛情という点でこれは純愛だろうと思う。  自分を同性愛者じゃないと否定しながらも喜多川に少しずつ惹かれていく堂野の感情の変化が緻密に描かれており、その点で説得力はあるのだが、性表現のところだけBL的な感じがしてしまった。ジャンルとしてのBLに性愛がつきものなのはわかるけど、ちょっと簡単にしすぎなんじゃないかと思う。あと、出所後の展開(「檻の外」)が昼ドラっぽいというか女性の扱いが少し酷い。男同士の愛情を描くのに女性を貶めるのってどうなの? と思ってしまったので減点。  比較対象をたくさんあげられるほど多くは知らないが、BL作家さんの中では文章は巧いと思う。ぐいぐいと話に引きこむようなストーリー展開の仕方も優れている。が、このシリーズに連なる短編「なつやすみ」がなぜか除外され、この文庫本には収録されていないのと、BLの枠を取り払って一般小説として見た場合は、出所後、二人が再会してからの展開が上記の通り少し安易というか、通俗的なドラマを見ているような感じがしたので、その点を減点して☆は3.5くらいです。

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あめさと

(無題)

starstarstar 3.0 2021年07月10日

 異色のBLだと思う。  痴漢の冤罪で収監され何もかもを奪われ、人間不信に陥るまでに至った堂野が喜多川の不器用な優しさによって救われるというストーリー。そして愛を知らずに育った喜多川のうちにも堂野に触れることで次第に愛情が芽生えていく。あらすじを書いてしまうととてつもなく通俗的な気がしてしまうが、感情の機微が非常に事細かに描かれている。代償を求めない愛情という点でこれは純愛だろうと思う。  自分を同性愛者じゃないと否定しながらも喜多川に少しずつ惹かれていく堂野の感情の変化が緻密に描かれており、その点で説得力はあるのだが、性表現のところだけBL的な感じがしてしまった。ジャンルとしてのBLに性愛がつきものなのはわかるけど、ちょっと簡単にしすぎなんじゃないかと思う。あと、出所後の展開(「檻の外」)が昼ドラっぽいというか女性の扱いが少し酷い。男同士の愛情を描くのに女性を貶めるのってどうなの? と思ってしまったので減点。  比較対象をたくさんあげられるほど多くは知らないが、BL作家さんの中では文章は巧いと思う。ぐいぐいと話に引きこむようなストーリー展開の仕方も優れている。が、このシリーズに連なる短編「なつやすみ」がなぜか除外され、この文庫本には収録されていないのと、BLの枠を取り払って一般小説として見た場合は、出所後、二人が再会してからの展開が上記の通り少し安易というか、通俗的なドラマを見ているような感じがしたので、その点を減点して☆は3.5くらいです。

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あめさと

(無題)

starstarstar 3.0 2021年07月10日

 異色のBLだと思う。  痴漢の冤罪で収監され何もかもを奪われ、人間不信に陥るまでに至った堂野が喜多川の不器用な優しさによって救われるというストーリー。そして愛を知らずに育った喜多川のうちにも堂野に触れることで次第に愛情が芽生えていく。あらすじを書いてしまうととてつもなく通俗的な気がしてしまうが、感情の機微が非常に事細かに描かれている。代償を求めない愛情という点でこれは純愛だろうと思う。  自分を同性愛者じゃないと否定しながらも喜多川に少しずつ惹かれていく堂野の感情の変化が緻密に描かれており、その点で説得力はあるのだが、性表現のところだけBL的な感じがしてしまった。ジャンルとしてのBLに性愛がつきものなのはわかるけど、ちょっと簡単にしすぎなんじゃないかと思う。あと、出所後の展開(「檻の外」)が昼ドラっぽいというか女性の扱いが少し酷い。男同士の愛情を描くのに女性を貶めるのってどうなの? と思ってしまったので減点。  比較対象をたくさんあげられるほど多くは知らないが、BL作家さんの中では文章は巧いと思う。ぐいぐいと話に引きこむようなストーリー展開の仕方も優れている。が、このシリーズに連なる短編「なつやすみ」がなぜか除外され、この文庫本には収録されていないのと、BLの枠を取り払って一般小説として見た場合は、出所後、二人が再会してからの展開が上記の通り少し安易というか、通俗的なドラマを見ているような感じがしたので、その点を減点して☆は3.5くらいです。

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Readeeユーザー

(無題)

-- 2019年06月11日
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