ピストルズ　下

さすが阿部和重は天才である。 お話としてまず面白い上に、信頼できない語り手が何重にも重ねられて語られる物語という、かなり凝った作りとなっているところがすごい。 そして、秋分（アメリカの夜）だけでなく、ニッポニア・ニッポン、グランド・フィナーレなど、自作を使いまくって物語を進めた上に、最後の補遺で「三流作家の詰まらないパロディだ」と書かせているところもまた、輻輳した意味づけになっていて唸ってしまう。 過去、途中で読むのを中断したままだったのだが、Audibleだと聞き易かったのもあり、一気に読み切ってしまった。余りに面白いので最後の方は紙で読んでいたが、阿部和重の作品は（元々映画関係出身だから？）何気にAudibleと相性が良いのかも知れない。 とりあえずは現代日本文学の傑作です。シンセミアよりこちらの方がかなり面白いかな。

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