茶葉 交代寄合伊那衆異聞
講談社文庫
佐伯 泰英
2013年9月30日
講談社
682円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
悠久の長江をヘダ号の仲間と遡る座光寺藤之助。茶葉を巡る英清両国の対立は激しく、芳醇な香りの裏に秘伝を狙う茶葉密偵の暗躍があった。髷を切り選んだ交易の道は、新たな戦いの始まりか。帆船レイナ一世号は交易品を満載し、バタビアを出港、帰途に就く。そう、玲奈が帰ってくる!第十九巻。文庫書下ろし。
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(無題)
佐伯泰英のシリーズで新・古着屋総兵衛と並んでこれが好きなんです。何故かというと、嘘八百と分かる嘘を平然とつき続け、主人公にスーパーマンのように八面六臂の活躍をさせるのですから、胸踊らないわけがありません。そんな主人公は藤之助、囚われの身から解放され、玲奈が上海に戻るまで長江を遡る旅を続けていました。上海は欧米列強の租界と化していましたので、真の中国とは言えませんでした。そこで藤之助は、中国を知るために内陸部への旅を始めたのでした。ところがこの旅は藤之助にお茶との出会いをもたらしました。そしてヨーロッパとのお茶の交易は莫大な利益を生むところから、イギリスがお茶の栽培と製茶技術の取得に躍起となっていることも学びました。さて、サムライトウノスケのゆくところ、必ず風雲急を告げるのは、お約束です。粗悪な品物で巨悪な利益を上げようとする勢力が、藤之助に襲いかかります。それら邪悪な闇の勢力と闘って勝利を得るばかりか、茶畑と製茶の秘密を守り切った藤之助に中国と倭国との間の茶葉の交易を独占的に取り扱うことが許されたのでした。 藤之助の上海帰還と相前後して玲奈は、膨大な交易品を積んで上海に戻り、1年ぶりに藤之助と再開しました。交易品は大砲から茶葉まで膨大な量で、船腹を満たしていました。こうして第一回目の航海を終えた船団は、日章旗、東方交易の社旗を靡かせて長崎に入港するのでした。あ〜あ、せっかくの楽しみもわずか半日で終わってしまいました。
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