いじめの構造ーなぜ人が怪物になるのか

講談社現代新書

内藤 朝雄

2009年3月19日

講談社

1,034円(税込)

人文・思想・社会 / 新書

学校や社会からこの苦しみが消えない理由とは?

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らいふぉん

閉鎖的・固定的な集団から可変的・流動的な自由な社会へ

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3.9 2024年02月16日

本書は、いじめをメインテーマに、人間社会における集団秩序を生態学的に捉えたものです。 人間が集まるところには、それぞが属する集団における秩序がいくつも重なり合って存在しています。 その中で、人権や法を守るような市民秩序が優位な場合は、何も問題がない集団です。 しかし、固定的・閉鎖的な集団は人権や法よりも、そこに集まる人々が作り出すその場の空気やノリが支配する群生秩序が生まれやすいといいます。 この群生秩序は、社会の法が届きにくい学校においては極めて生まれやすく、維持されやすい傾向にあります。 群生秩序が優位な集団において、人はその群れから外れることを極度に嫌い、仲間外れにならないように自分の内面をいとも簡単に作り変え、人を傷つける怪物になりえます。 人が怪物になり、いじめが生まれる構造を見事に解明してあります。 そして、その構造を破壊する環境設定・政策として短期的、中・長期的な解決案が提示されています。 短期的な解決案としては、①学校に法を適用すること、②学級を無くすこと、の2つを同時に行うことです。 中・長期的な政策は、少し複雑です。 ①まず、教育を内容を狭めた義務教育と権利教育に分けます。 ②義務教育は社会生活を送る上での最低限の知識・技能に厳選し、国民全員に修了の国家試験を設けます。 ③権利教育は、学問教育と技能教育に分けられ、学問を究めたり、手に職をつけたりするように自分で選べます。 ④そして、年齢制限を撤廃して誰でも生涯、権利教育が受けられるようにします。その中には現行の学校制度が残っても良いです。 ⑤義務教育は、教育バウチャーを使い、試験に落ちた人は無制限に使って学習ができます。 現実にこうなることは不可能に近いですが、全ての人に教育が開かれ、自由に選択できる理想的な社会になるのではないかと期待感を持てます。

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