国税局査察部24時

講談社現代新書

上田 二郎

2017年1月18日

講談社

880円(税込)

ビジネス・経済・就職 / 新書

手の込んだ脱税が増えていく一方、マルサを希望する若手税務職員が減ったと言われて久しい。彼ら「職人」たちは、いかにして脱税を嗅ぎ取り、その端緒を掴み、大口かつ悪質の脱税を暴いていくのだろうか? マルサの男に狙われる人・会社の特徴とは?刑事さながらの張り込みや尾行、強制調査によって脱税者をとっちめる、マルサの男たちのドラマが今、幕を開ける。 国税局査察部、通称マルサ。闇に潜んでいる資金に目を光らせ、時に経済社会の網の目をすり抜けようとするカネを引きずり上げるため、資金警察とも呼ばれている。 このマルサにまつわる話は、すべてが極秘である。 国税職員には国家公務員としての守秘義務と、国税通則法で定めた守秘義務の二重の制約があり、重い罰則が定められているからだ。そのため、国税職員は自分が携わった事案を誰にも話さずに墓場まで持っていく。 だがしかし、マルサの仕事が世に知られないのは、あまりにもったいない。もっと世に知られてよいはずだ、そう私は思う。 その理由の一つは、マルサの仕事を示すことで、「悪いヤツら」に立ち向かう使命感を読者と共有でき、それが結果として、悪いヤツらを排除する原動力となるからである。 「国税の最後の砦」と呼ばれ、しばしば嫌われ役となるマルサたちも、元をただせばサラリーマン集団だ。サラリーマンだからこそ、日頃から重税感を抱いている(あなたも重い税負担に不満を抱いていないだろうか)。 そしてマルサは、税制の不公平ぶりを他のサラリーマンよりもずっと知っている。きっちり源泉徴収されているサラリーマンの中でも、税に関するスペシャリストだからこそ、税を免れる者に対して強い敵意を燃やし、時に家族を犠牲にしながらも、日本の税制を守るというモチベーションがマルサにはある。 租税正義の実現のため、安月給で歯を食いしばって頑張っている「マルサの男」の姿を知ることで、脱税は社会公共敵であるということを思い返してほしい。 マルサが職人として、いかにして脱税の端緒を掴み、接触せずに大口、悪質の脱税を暴いていくのか? 刑事さながらの張り込みや尾行によって脱税を暴く、内偵調査のスリルをこれから伝えていきたい。 そのために、本書は実話に基づきながらも、刑事ドラマを見ているかのように、なるべく読みやすく脱税事件を追ったつもりだ。 脱税者の悪い手口の数々や、それを追うマルサのひたむきな姿を読み終える頃には、知らぬ間に、とっつきにくい税制についての理解が深まっているだろう(税制についての理解をさらに深められるよう、各話終わりごとに税に関するコラムも付記している)。  --著者より

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