
汚名(上)
講談社文庫
マイクル・コナリー / 古沢 嘉通
2020年8月12日
講談社
968円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
SFPD(サンフェルナンド市警)の予備刑事(reserve officer)として、自発的に未解決事件捜査にあたっているハリー・ボッシュのもとを、昔のパートナーだったロス市警本部強盗殺人課未解決事件班刑事のルシア・ソトが現在パートナーを組んでいるボブ・タプスコットとロス検事局のアレックス・ケネディ検事補とともに訪れ、ボッシュが三十年ほど前に逮捕し、現在も死刑囚として服役中の連続殺人犯プレストン・ボーダーズに関して、あらたな証拠が出たとして、再審がひらかれる見込みだと聞かされる。残された証拠を調べ直したところ、すでに死亡している別の死刑囚ルーカス・ジョン・オルマー(連続婦女暴行殺人犯)のDNAが被害者の着衣に精液の形で付着していたことが科学的に立証されたという。事件発生当時、DNAは、犯罪捜査の証拠として認められていなかった。証拠保管庫に収められた被害者の着衣の入っている当該事件の証拠保管箱をソトとタプスコットが開封する様子は、ビデオに録画されており、そこに問題はまるで無いように思えた。 ボーダーズの弁護士ランス・クローニンの主張は、被害者の着衣に別人のDNAが付着している以上、ボーダーズ逮捕の決定的な物証(ボーダーズの住居で見つかった被害者のペンダント)は、事件担当の捜査官(ボッシュと彼のパートナー)が仕込んだものだ、というものだった。ロス市警と喧嘩別れしたいきさつから、ロス市警と検事局のボッシュに対する心証はことのほか悪く、証拠を捏造した悪徳警官としてボッシュに責任をかぶせようという気が満々だった。おのれの信用が地に落とされる危機に際し、リンカーン弁護士ミッキー・ハラーにボッシュは相談し、ミッキーの導師であるリーガル・シーゲルの智慧を借りることになる。 一方、サンフェルナンド市警の管轄で、薬局を経営する父親と息子が薬局内で銃殺されるという事件が発生し、小規模共同体の警察としては、手が足りず、ボッシュも捜査に狩りだされる。捜査を進めるなかで、この事件が、薬局を舞台にしたオキシコドン(半合成麻薬)不正請求にまつわるものであることが判明する。すなわち、身内に引き込んだ医師に鎮痛剤でもあるオキシコドンの処方箋を書かせ、患者を装った出し子たちに薬局で大量に入手させ(料金は医療保険Medicareでカバーされる)、それを売りさばいて大金をせしめている犯罪者集団がいた。薬局の父親は、永年その片棒を担がされていたのだが、息子がその不正に気づき、手を引こうとして、犯罪者集団に処刑されたのだった。犯罪者集団のアジトを突き止め、親玉を逮捕する証拠を手に入れるため、ボッシュは、潜入捜査に赴く。
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toruo
(無題)
もう何作目だろう...すっかり長寿シリーズとなった刑事もの。ベトナム戦争に従軍していた主人公は長年勤めて再雇用されていたロサンゼルス市警をあまりよくない形で辞め、現在は隣街の小さな警察で無給の予備刑事として主に未解決事件の捜査と後進の指導にあたっている。そんな彼の元にロス市警での元パートナーが検事を連れて現れ、昔彼が逮捕し死刑が確定している婦女暴行犯の証拠に問題があることがわかったために再捜査が始まるという。一方で薬局の薬剤師親子が射殺されるという大事件が起こり、主人公は過去の証拠捏造の疑惑に異母弟の弁護士と取り組みつつ一方で経験に乏しい警官たちを指導しながら射殺事件にも取り組んで...という話。もはや老人となった主人公が危険な潜入捜査に取り組みながら一方で完全に落ち度がないように見える自身の過去への告発とも取り組む、という展開だが2つの物語を破綻なくきれいにまとめているあたりは流石という他ない。かってのパートナーが意外な形で登場しそれなりに活躍するところも楽しい。一時中だるみというか低迷しかけたシリーズだがかなり持ち直しかなり素晴らしくなっている。これは良かった。おすすめ。
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