越境の中国史 南からみた衝突と融合の三〇〇年

講談社選書メチエ

菊池 秀明

2022年12月15日

講談社

1,980円(税込)

人文・思想・社会

香港の民主化運動への禁圧、台湾への軍事的圧力ーー。現在の中国が見せる、特に南部への強硬な姿勢には、どのような歴史的背景があるのだろうか。中国史のフロンティア=華南地方の周辺民族と移民活動に焦点を当て、南から中国史を見直す。 中国の歴史は従来、黄河流域に展開した古代王朝の興亡史や、騎馬遊牧民が打ち立てた大帝国など、「北から動く」ものとして捉えられてきた。しかし、清代末期、広州などの港町を窓口とした近代ヨーロッパとの出会いをきっかけに、新しい時代が始まる。洪秀全の太平天国、孫文の辛亥革命など、社会変革の大きな動きは南から起こり、中国史上初めて「南からの風が吹いた」のである。その「風」を起こしたのは、漢民族にヤオ族・チワン族やミャオ族、さらに客家など様々な人々が移動と定住を繰り返す「越境のエネルギー」だった。 世界のチャイナタウンではなぜ広東語が話され、福建省出身者が多いのか。周辺民族は、漢民族のもたらす「文明」にどのように抵抗し、あるいは同化したのか。辺境でこそ過剰になる科挙への情熱や、キリスト教や儒教と軋轢を起こす秘密結社、漢民族から日本人そして国民党と、波状的な支配を受ける台湾原住民など、中国社会の多様性と流動性を史料と現地調査から明らかにし、そこで懸命に生きてきた人々の姿を見つめる。 目次 序章 中国史のフロンティア=華南 第一章 動き出した人々--福建・広東の移民活動 第二章 越境する漢人移民ーー広西と台湾への入植 第三章 辺境の科挙熱ーー中国文明と向き合う 第四章 周辺民族の抵抗と漢文化ーー流入する移民と秘密結社 第五章 太平天国を生んだ村でーー移民社会のリーダーたち 第六章 械闘と動乱の時代ーーつくり直される境界 終章 越境してやまない人々--海外移住と新たな統合 あとがき 参考文献 索引 序章 中国史のフロンティア=華南 第一章 動き出した人々--福建・広東の移民活動 1 福建と広東ーー華人のふるさと 2 中国の人口爆発と移民活動 第二章 越境する漢人移民ーー広西と台湾への入植 1 瘴気の地・広西  2 台湾・うるわしの島 3 移民の要因とネットワーク 4 「ワンセック」という行動様式 第三章 辺境の科挙熱ーー中国文明と向き合う 1 土司の周辺民族統治と改土帰流 2 辺境での科挙受験と儒教 3 あるチワン族一家の「漢化」 第四章 周辺民族の抵抗と漢文化ーー流入する移民と秘密結社 1 創り出された周辺民族の「貧困」 2 「漢人化」する周辺民族 3 台湾原住民の世界と日本の統治 第五章 太平天国を生んだ村でーー移民社会のリーダーたち 1 移民宗族の台頭と競争 2 新興エリートの「自治」 3 下位集団の上昇戦略ーー造反か、「軍功」か 第六章 械闘と動乱の時代ーーつくり直される境界 1 広西の来土械闘 2 広東の土客械闘 3 台湾の分類械闘 終章 越境してやまない人々--海外移住と新たな統合 1 動乱が生んだ移民ーーアメリカ・日本・台湾 2 華南の移民史と中国の未来 あとがき 参考文献 索引

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