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闘う区長
集英社新書
保坂展人
2012年11月30日
集英社
770円(税込)
人文・思想・社会 / 新書
二〇一一年東日本大震災と福島第一原発事故を受け、同年、脱原発を訴えて、人口八八万人をかかえる世田谷区長に当選した著者。就任後は区役所から始める節電、不透明な値上げをめぐり東京電力へデータ開示要求、電力の自由化とエネルギーの地産地消をめざす「世田谷電力」の計画など、自治体の長だからこそ提案できる施策を次々に実行に移してきた。外からは見えづらい地方自治の現場における首長の具体的な仕事内容とはどんなものなのか?本書は、国政が混迷を極める今こそ、自治体が発信力を高め、地域が連携することで日本を変えようという提言である。
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(無題)
保坂展人世田谷区長のツィートは、毎日チェックしています。しかしツィートは断片的な情報ですので、改めてこの本を読んで、この人の応援団の意を強くしました。保坂さんは、衆議院議員を3期11年務めた後落選し、教育問題を中心に考えるジャーナリストとして活動していました。そんなとき、世田谷区長選への立候補の要請がきて、そこで彼は「脱原発」を掲げて立候補し、当選したわけです。 初登庁以来の様々なエピソードが語られますが、何と言っても東京電力とのやり取りがこの本の読みどころです。区役所の電気を東京電力から購入するのではなく、入札で事業者を決めPPS(特定規模電気事業者)の電気に変え、年間約4400万円の電気代を節約したのは有名ですね。また、エネルギーの地産地消をめざし「世田谷電力」という構想をたて、世田谷区として太陽光発電など、地域でできることを模索しています。 そして具体的に各家庭への太陽光発電を普及するための事業に取り組んでいます。国が全然変わらないなかで、具体的に地域からエネルギー問題を考えていくんですね。 待機児童対策としての家庭的保育事業の実現は、いろいろなことでヒントになると思います。この問題は厚生労働省の借家やマンションを利用して、待機児童をうけいれられるようにする政策ですが、実行しようとすると、消防法や建築基準法に抵触してしまうわけです。役所が違法行為をするわけには行きませんので、大概はここで諦めてしまうのが役人の習性です。ところが保坂さんは、関係省庁と折衝してOKを取り付けてしまうのです。たとえば、地震国日本では、地熱発電が有力視されますが、国立公園内と言う事で開発行為が出来ないと聞いております。こんなのも調整可能なのではないでしょうか。 地方行政は地味で予算の枠があって大胆な政策を実施するのはむづかしと思っていましたが、首長によっては随分と差異が出せるものだと思いました。 残念なのは、出版を急いだためか誤植が見受けらたことです。
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