読書狂の冒険は終わらない!
集英社新書
三上延 / 倉田英之
2014年10月17日
集英社
836円(税込)
新書
ベストセラー作家にして稀代の「読書狂」の二人が「読まずにはいられない」名作・傑作・奇本・珍本の数々を、丁々発止で語り合うビブリオバトルが開幕!博覧強記の二人が惜しみなく出し合う秘蔵の「読書ネタ」を収めた本書は、唯一無二のブックガイドである。
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書名の読書狂にはビブリオマニアとルビがふってあります。僕はあくまでビブロフィリア(読書家)であって本書に登場する二人の作家とは一線を画します。その二人とは『R.O.D』の倉田英之と、『ビブリア古書堂の事件手帖』の三上延で、本書は彼ら二人の対談です。僕が最も苦手とするのがラノベとコミックでした。これではならじと挑戦したのが『ビブリア古書堂の事件帖』シリーズと『ブラックジャックによろしく』でした。ともにそこそこ楽しめましたが、それ以上ではありませんでした。僕はビブリアが多くの人々に支持されているのは、栞子と大輔の恋愛感情が本線にあるからであって、著者の書に対する蘊蓄を本線に沿えれば、独りよがりな嫌味以外の何者でも無くなってしまうと考えています。 書に関する蘊蓄どころか読書狂、書癡とも言うべき境地にあるのがこのお二人です。彼等の興味がが一般の読書家とかけ離れている事をお二人はこの本の中で、図らずも告白しています。二人ともよくお勧めの本を聞かれてそれに答えると、相手は一種独特の反応をするのだといいます。このお二人が面白いと思う本は、大多数の人がそう思う方向とズレがあるんですね。本好きは多くても趣味嗜好、好みの違いがあるのは、ブクレコの常連のレビューを見ていても察しがつきます。 読書量の多い二人に本をテーマに対談させれば、その思いは読書家に通じ、対談内容がそのままブックガイドになるだろうと考えた編集者の意図は、残念ながら大外れと言わざるを得ません。僕の立ち位置が読書家の真ん中にあるとは言いませんが、少なくとも本書の導入部、モダンホラーへの二人の入れ込みさ加減にはついていけません。確かに人間には怖いもの見たさの気持ちがあるのは否定しませんが、それを陽の当たる天下の大道の真ん中に添えて堂々としている姿には、違和感を覚えます。それも一つの行き方でしょうが、少なくとも僕の方向ではありません。 さて、ビブリオマニアとしてのお二人が本領発揮して面白く読めるのが第9章『本、愛あればこそ』です。一口に本好きと言っても、本を読むのが好きな人と本を集めたり所有するのが好きな人とがあります。ビブリオマニアは明らかに後者ですね。例えば初版本を集めることに没頭している人は、本が痛むから読んだりしませんね。ことほど左様に世の中にはいろんな人がいるものです。僕自身の事を言いますと、若い頃は読書遍歴はある意味自らの頭の中を晒すことになりますから、蔵書を人に見せることほど恥ずかしい事はないと思っていました。その反面、自宅では書棚に麗々しく蔵書を飾っていました。この辺はチョット複雑です。 職業人をリタイアした今は、蔵書を持たない主義にしています。蔵書どころか、生活に必要な物を除いて所有への欲望が少しずつ減ってきているように感じます。また、読んだ本を他人に知られる事を恥ずかしく思っていた僕が、何を読んだかはおろか、どう感じたかまでブクレコにアップして不特定多数の人の眼前に晒すのは、どうしたことなんでしょうかね。加齢とともに恥じの感覚が次第に麻痺してきたのか、あるいは自虐的楽しみに浸っているのでしょうか。 ともあれ、本書は万人向けではありませんが、本好きには同感と反撥が相半ばする思いで読み進めることができ、それなりに愉しむことはできます。
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tokage09
読書狂LOVE
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