原発訴訟が社会を変える

集英社新書

河合弘之

2015年9月17日

集英社

814円(税込)

科学・技術 / 新書

ビジネス弁護士として、バブル期に数々の大型経済事件を手掛けた著者が、原発訴訟でも徹底して勝敗にこだわり、ついに高浜原発三・四号機の運転差し止め訴訟で画期的勝利を収めた。その法廷戦術や訴訟の舞台裏を初公開する。さらに、脱原発を実現するために著者自ら監督・製作した映画『日本と原発』の重要シーンや製作秘話についても解説。日本からすべての原発をなくすための闘いの記録であり、原発推進派の巧妙な手口に対抗するための強力なツールとなる!

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Readeeユーザー

(無題)

-- 2018年01月21日

2014年5月21日、福井地裁で大飯原発3、4号機の運転差し止めを求める訴訟の判決が出され、関西電力に運転差し止めを命じた。耐震設計の目安となる地震の揺れである「基準地震動」を超える地震が発生するかどうかが争点であった。この判決に接した菅義偉官房長官は記者会見で、「原子力規制委員会の判断を尊重して再稼働を進める方針に変わりはない。粛々と進める」と強調した。この人の物言いや視線はある意味一貫していてぶれることがない。辺野古の米軍基地工事でも同様の言葉を聞いたように思う。権力の中枢にある者の驕りと、我が国の民主主義の底の浅さに無力感を抱いたのだった。 福島第一原発の事故で日本中の大部分は「電力料金が少しぐらい高くなっても良いから、もうこんな危険なことはやめて欲しい」と思ったはずだ。ところが、5年も経たずに原発再稼働だという。アンケート調査によれば、再稼働への賛否は拮抗しているそうだ。再稼働を認める人の考えは次のように推測できる。「専門家集団である原子力規制委員会がお墨付きを与えたのだから、安全と考えても良いのではないか。科学技術の発達は、失敗を乗り越えて初めて為される。危険を恐れていては、人類に未来はない」と。 こう主張する人は、原発事故を航空機事故や列車事故と同列に見ている。よく考えてもらいたい。福島第一原発事故は、日本という国一国があわや消滅するかもしれない危機的状況をはらんでいたのだ。それが回避できたのは、技術の力や人間の英知ではなかった。僥倖に過ぎなかったのだ。科学技術の発達は、失敗の原因を明らかにして、その対策を徹底的に行うことによってなされるものだろう。福島第一原発事故の原因究明はキチンとなされたのであろうか。またぞろ、新たな安全神話が作り出されたように感じてならない。 また、これだけの大事故でありながらも、誰も責任を取らないというのも、おかしなことだ。我が国の支配層の強い意志を感じざるを得ない。声なき庶民の味方を任じて弁護士300人が立ち上がったのは、実に心強いことだ。僕も自分ができることをしなくてはならない。

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