オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ 東京バンドワゴン

集英社文庫(日本)

小路 幸也

2013年4月19日

集英社

814円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

東京下町で老舗古書店“東京バンドワゴン”を営む堀田家は、四世代の大家族。勘一のひ孫・花陽は受験生になり、研人は中学校に入学、かんなと鈴花もすくすく育っている。ひとつ屋根の下、ふしぎな事件が舞い込んで、今日も一家は大騒ぎ。だが近ごろ、勘一の妹・淑子の体調が思わしくないようで…。ご近所さん、常連さんも巻き込んで、堀田家のラブ&ピースな毎日は続く。大人気シリーズ第6弾。

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Readeeユーザー

(無題)

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2.7 2018年01月27日

陽射しが部屋の奥まで差し込むようになった秋の日の昼下がり、縁側に持ち出した座布団を枕にゴロンと横になりながら、お婆ちゃんの昔話を聴くとはなしに聞いているようなゆる〜い居心地の良さに誘われて、またまた読んでしまいました、下町の古書店東京バンドワゴンを営む大家族堀田家のお話です。 堀田家に春がやってきました。春は生命の芽吹く季節です。また、恋の季節でもあります。「林檎可愛やすっぱいか」。青リンゴなんて、甘酸っぱい初恋を連想する題名ですね。ある朝、本を並べてあるワゴンにりんごが1個おかれているのを登校しようとした研人と花陽が見つけます。何のメッセージなのかと頭を悩ませる堀田家の人々です。ある日、学校から研人が光輝と喧嘩をしたと連絡があります。光輝が本を大事にしなかったという理由で研人が光輝を怒ったとの事でしたが、堀田家の人々はその理由に今一つピンときません。その夜、光輝の義父と母親が訪れます。さらには、我南人が昔面倒をみた風一郎と図書の森下先生も同時にやってきて堀田家はてんやわんやの大騒ぎです。そこへ我南人まで帰ってきて一言、例の「LOVEだねぇ」。林檎は奈美子ちゃんのメッセージで、光輝と研人の喧嘩の本当の理由は、芽莉依ちゃんを巡っての幼い恋のさやあてだったのでした。 「 歌は世につれどうにかなるさ」 堀田家に夏がやってきました。堀田家の夏といえば葉山です。風一郎の新曲が大ヒットしましたが、その曲は我南人が新曲と言って花陽の着メロにした曲にそっくりだったのです。葉山で風一郎と我南人が対決するところとなりました。我南人は風一郎にセッションを持ちかけ、気合の入った演奏が終わると風一郎は、たまらずに「盗作した」と打ち明けるのでした。ところがお話は、とんでもない展開を示すことになります。またもや我南人の「LOVEだねぇ」の一言で読者はホロリとさせられるのでした。 秋の声を聞けば温泉が恋しくなるとは、人の常であります。「振り向けば男心に秋の空」。かんなと鈴花の2歳の誕生日祝いを兼ねて、一家で温泉に行こうという話になり、かずみが留守番することになりました。温泉出発前夜、修平がやってきて留守番にやってきたと言います。かずみは、藤島と茅野もやってくると言い、堀田家が留守の間を任せる事になりました。勘一が留守の間に80冊もの豪華本を買い取ってほしいとの依頼が舞い込んできました。本をめくってみると、切り抜かれており、中にはラリックの香水瓶にウイスキーが詰められていました。 冬も、さきお婆ちゃんの口から語られると、何やら風情が感じられます。「オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ」藤島がマンションの改装の間、藤島ハウス住み始めました。毎朝、一緒にご飯を食べ、アキとサチの散歩までしてくれます。記者の木島が藤島をストーキングしている奴が2人いると言い始めます。1人は50代ぐらいの男、1人は二十代後半の女です。これが何と、男は藤島の姉と無理心中しようとした元教師で、女は姉の親友でした。勘一がこの3人を仕切ってエンディングに持って行く手腕には素晴らしいものがあります。3人それぞれの琴線を揺さぶり、読むものをして涙なしにおくことができません。さすがに80年以上も生きてきた知恵があります。しんみりとしたままで終わらせないのが、この作者のサービス精神というものです。修平と佳奈は結婚を決めたことを、コウと真奈美は子供が出来たことを告げるのでした。

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