ハコブネ
集英社文庫(日本)
村田 沙耶香
2016年11月18日
集英社
528円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
十九歳の里帆は男性とのセックスが辛い。自分の性に自信が持てない彼女は、第二次性徴をやり直そうと、男装をして知り合いの少なそうな自習室に通い始める。そこで出会ったのは、女であることに固執する三十一歳の椿と、生身の男性と寝ても実感が持てない知佳子だった。それぞれに悩みを抱える三人は、衝突しあいながらも、自らの性と生き方を模索していく。芥川賞作家が赤裸々に紡いだ話題作。
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性的マイノリティとは…
人間はカテゴライズしたがる。世の中の性的マイノリティもLGBTQなどと、カテゴライズされるため、本人たちも自分がどれに当てはまるか等と考えようとするが、カテゴライズされたものが全部じゃないし、カテゴライズできるものでもない、人それぞれなんだと思わされるし、「当てはまろうとしなくていい」、「そのままでするセックス」等という言葉に、価値観揺さぶられた。 無性であろうとする里帆さえ、「無」ではなく、性別の中で生きている。Xというカテゴリーの中で生きようとしている。 世界とセックスする、アースとセックスは、あらゆる村田沙耶香作品で出てきたことで、なんとなくその形がわかってきた。 ちかこにとって、精神感覚が物理感覚を上回ることはなかった。それで傷心し、そういう結論になったラストが素敵でした。 ちかこは、これまでの村田沙耶香作品でもよく出てきたような、世界を物として捉えたり、人間をヒトととして捉えたり、物語に入れないと言って俯瞰した目線で観ている人。 性とは何か。 生まれ持った身体のかたち、自らの認識、周りからの目、 今あるものに自ら当てはまろうとすることが、本当の本当として、正しいことなのか、 そこに苦しさを感じるなかで生きる人々が描かれている作品でした。
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