ワセダ三畳青春記
集英社文庫(日本)
高野 秀行
2003年10月22日
集英社
792円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
三畳一間、家賃月1万2千円。ワセダのぼろアパート野々村荘に入居した私はケッタイ極まる住人たちと、アイドル性豊かな大家のおばちゃんに翻弄される。一方、私も探検部の仲間と幻覚植物の人体実験をしたり、三味線屋台でひと儲けを企んだり。金と欲のバブル時代も、不況と失望の九〇年代にも気づかず、能天気な日々を過ごしたバカ者たちのおかしくて、ちょっと切ない青春物語。
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(無題)
時代はバブル真っ盛りの90年代初め。浪費と消費が美徳とされる世界の路地裏で、それとは無関係に生きる貧乏アパートの住人たち。「早稲田大学探検部」というサークルがあり、探検部の著者の青春時代の一シーンを切り取ったものが本書。ともかく面白い。ほのぼのとした嬉しさと、集まってくる奇人変人の可笑しさが群を抜いていて、目が離せないと言うか、一気に読み上げてしまう。心地よく自由で気ままな生活を楽しんだ著者が、やっとこの野々宮荘を離れていくまでを描く。読後に嫌味が残らない。描かれているのは常識はずれの貧乏と怠惰であるにもかかわらず、なんのケレン味も無い。
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