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破軍の星
集英社文庫(日本)
北方 謙三
1993年11月30日
集英社
990円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
建武の新政で後醍醐天皇により十六歳の若さで陸奥守に任じられた北畠顕家は奥州に下向、政治機構を整え、住民を掌握し、見事な成果をあげた。また、足利尊氏の反逆に際し、東海道を進撃、尊氏を敗走させる。しかし、勢力を回復した足利方の豪族に叛かれ苦境に立ち、さらに吉野へ逃れた後醍醐帝の命で、尊氏追討の軍を再び起こすが…。一瞬の閃光のように輝いた若き貴公子の短い、力強い生涯。柴田錬三郎賞受賞作。
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武王の門に通ずる清涼感
北方氏の文章は自分には合うようだ。今作の主人公である、北畠顕家に前作の主人公である懐良親王に似た清涼感を、全編を通じて感じながら読み終えることができた。二人とも朝廷に振り回されながら、地方に夢を感じていたことが理解できる。福島で仕事をしていたときに霊山神社に参拝し、北畠顕家の存在を初めて知った。なかなかその生涯を知る機会がなかったが本作品で初めて触れたことは幸運だったと思う。 奥州藤原氏の末裔である安家利通の、顕家を送る「お持ちいたします。安家利通は、命の続く限り、北畠顕家様をお待ちいたします。」この言葉がいつまでも心に残る。
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