ガダラの豚(1)

集英社文庫

中島らも

1996年5月31日

集英社

539円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

アフリカにおける呪術医の研究でみごとな業績を示す民族学学者・大生部多一郎はテレビの人気タレント教授。彼の著書「呪術パワー・念で殺す」は超能力ブームにのってベストセラーになった。8年前に調査地の東アフリカで長女の志織が気球から落ちて死んで以来、大生部はアル中に。妻の逸美は神経を病み、奇跡が売りの新興宗教にのめり込む。大生部は奇術師のミラクルと共に逸美の奪還を企てるが…。超能力・占い・宗教。現代の闇を抉る物語。まじりけなしの大エンターテイメント。日本推理作家協会賞受賞作。

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中島らも「ガダラの豚」

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2019年12月19日

みんなのレビュー (1)

とも

(無題)

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3.3 2018年01月26日

プロローグ冒頭には、マタイによる福音書が引用されています。ガダラの地にて凶暴な二人に取り憑いていた悪霊がイエス・キリストによって追い出され、代わりにそこで飼われていた多くの豚の中に入れられ、その豚の群れごと崖から転落。海に落ちて溺れ死んだという一節です。プロローグはさらに、真言宗の大阿闍梨の驚異的な護摩業が描かれます。そして老師、隆心は 7日目に炎の中から「大黒」という暗黒神を見たのでした。このエピローグが何を意味するのかは全く不明です。そして主人公はといえば、アフリカにおける呪術医の研究でみごとな業績を示す民族学者・大生部多一郎です。ここまで読み進めると、本書の方向性が何と無く見えてきたように思えますが、中島らもという人はとんでもない人です。本書は民俗学、文化人類学を踏まえた味わい深い小説と思いきや、ドタバタ喜劇の様相を明らかにして行きます。 8年前に調査地の東アフリカで長女の志織が気球から落ちて死んで以来、大生部はアル中になり、妻の逸美は神経を病み、奇跡が売りの新興宗教にのめり込むのでした。第一巻は妻の逸美の救出劇が中心になります。その際に重要な脇役として登場するのが、手品師 ミスター・ミラクルです。新興宗教の教祖沢井は腹心の福田とともに、目の前で超常的な力を見せつけ中年主婦たちを信用させて行くのです。彼女たちが洗脳されていく様子は圧巻です。逸美みたいに、私は騙されないと思っているインテリほど簡単に彼らの術中に落ちるのですから怖いです。逸美が全面的に信用するようになった決め手が教祖の空中浮遊術です。何やらオウム真理教の麻原彰晃を彷彿とさせます。ミスターミラクルはこれら超常現象を自らが演じて見せることによってそのイカサマぶりを暴きます。そして、最後の砦である空中浮遊術の謎を解くために心玉の道場に乗り込むのでした。

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