ペテロの葬列

宮部みゆき

2013年12月31日

集英社

1,980円(税込)

小説・エッセイ

今多コンツェルン会長室直属・グループ広報室に勤める杉村三郎はある日、拳銃を持った老人によるバスジャックに遭遇。事件は3時間ほどであっけなく解決したかに見えたのだがー。しかし、そこからが本当の謎の始まりだった!事件の真の動機の裏側には、日本という国、そして人間の本質に潜む闇が隠されていた!あの杉村三郎が巻き込まれる最凶最悪の事件!?息もつけない緊迫感の中、物語は二転三転、そして驚愕のラストへ!『誰か』『名もなき毒』に続く杉村三郎シリーズ待望の第3弾。

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Readeeユーザー

(無題)

-- 2018年01月21日

宮部作品の例に漏れず、とにかく長い。何しろ3時間余りのバスジャック事件の顛末に140ページを費やしているのだから。バスジャック事件の犯人は佐藤一郎と名乗る老人であった。佐藤は事件後、暮木一光というアパート暮らしの老人である事が判明。ところが、バスジャックの動機が不明のままで進行。本作がミステリーとして最後まで読者を楽しませるのは、この謎が最後まで明かされないためだ。 物語の発端はこうだ。今多コンツェルン会長室・直属グループ広報室に勤める杉村三郎と編集長の園田瑛子が社内報の取材で房総の町を訪れた帰り道、乗り合わせた路線バスが拳銃を持った老人にバスジャックされた。運転手を含めて男女7人が人質となった。老人は人質全員に「後で慰謝料をお支払いします」と謎の提案をする。そして老人は「悪人」と称する3人の人物達を連れてくるように警察に要求するが、警察官の突入と同時に拳銃で自死してしまった。事件後、犯人は、顔見知りの民生委員が生活保護が必要だと感じさせるほど貧乏だったことが明らかとなる。犯人とのやり取りの中で半分慰謝料を当てにするような気になっていた人質たちは「やはり」と思う反面、落胆は隠せなかった。ところが、しばらくすると人質たちの元に、老人が言っていた通りに現金が宅配便で届けられてきたのだった。「慰謝料」を受け取るべきか、それとも警察に届けるべきか、三郎は他の人質たちの協力を得ながら、慰謝料の送り主や、犯人の老人の真意を探っていくのだった。 「慰謝料」と並んで三郎が強く違和感を感じたのが、老人の巧みな話術からくる人心掌握術であった。三郎は教職経験者かと推測したが、三郎の義父・今多嘉親の推理ではセミナー講師であった。現金が送られてきた宅急便の伝票や暮木一光が名指した三人の身元を探るうちに、豊田商事事件を彷彿とさせる大詐欺事件の影が浮かんできた。そう、暮木一光は詐欺師だったのだ。そして己の所業を悔い、贖罪と懲罰のつもりで、バスジャックを起こしたのだった。彼を葬列の先頭にして、被害者であり加害者である3人の会員達も葬列に加わるべきとのアッピールだったのだ。 本書の最終章では杉村三郎と菜穂子の離婚が語られ、唐突な印象を与えるが、本書がシリーズ作品でこの後、杉村三郎探偵が活躍していくことを考えると、そんな展開もありかな、と思えてくる。

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