帰郷
浅田次郎
2016年6月24日
集英社
1,540円(税込)
小説・エッセイ
二度と戻れぬ、遠きふるさと。戦争によって引き裂かれた、男たちの運命とは。名もなき人々の矜持ある生を描く小説集。
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(無題)
人の命が紙よりも軽い時代の庶民の日常である。先の戦争では、国家の名の下に200万人からの命が奪われた。こんな理不尽で愚かな行為を再び起こす事があってはならない。そんな思いに満ちた書である。何やら世の中全体が右傾化したり、権力が安倍一極に集中したりとの世相を見るにつけ、不幸な時代の再来に危惧の念を禁じ得ない。 ところで、私たちの生命財産を守る最終手段が暴力であることは、論を待たない。無論、私的に暴力を振るう事は許されない。法的根拠に基づいた暴力装置が警察であり、軍隊である。「浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ」。石川五右衛門ではないが、人の世から犯罪をなくす事は不可能であるのと同様に、国家間の争い事の解決手段としての戦争も無くならない。そこでどのように自国を防衛するかが俎上に上るのは自明の理である。 戦後70年以上が経過した。平和で豊かな社会が当たり前の現代の日本人は、平和にコストがかかる事すら意識していないように見える。それは直接的な戦費をアメリカに委ねたからである。戦後の吉田ドクトリンは軽武装、経済優先でこの国に豊かさをもたらした。その戦略の元になったのが日米安全保障条約である。アメリカは日本防衛義務を負う。一方で我が国はアメリカに基地を提供する義務を負う。これが条約の骨子だ。 毎年夏になると、戦争体験や被爆体験の記事が新聞の多くのスペースを占める。そして投書欄にも戦争関連の投書が多く取り上げられる。これ自体、平和を希求する真実の声だから、何も棹差すつもりはない。しかし、そこに平和を持続させる具体的な手立てについての議論が欠けているのは一体どうしてなのだろう。私たちの国には平和憲法がある、戦争を放棄しているのだから他国から攻められる事はない、と信じているように感じる。それは戦前の「この国は神の国なのだから、最後には神風が吹いて守ってくれる」との根拠のない信仰と同じだという事に気がついていないのだろう。どうして、現実的な議論ができないのだろうか。そんな事を広島原爆の日にふと思った。
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(無題)
ブーゲンビルで同僚の兵隊の人肉を食べた経験を語らせていかに酷い戦争をしていたかを書いている。 傷痍軍人の記述が昔自分が見たことのある風景として蘇ってきた。「金鵄のもとに」が収められた6本の短編小説のなかでもっとも感激したものだった。 いずれの小説も戦後の日本人の生活ぶりを扱っており、酷い状態にあったことがわかる。 昨日8月24日に読み始め、今日25日には読了してしまった。
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