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(無題)
小倉昌男と言えば宅急便の創始者であり、役所と規制緩で闘った闘士のイメージが強い。そして現役引退後、私財46億円を投じて「ヤマト福祉財団」を創設、障害者福祉に晩年を捧げたことで知られる。 今更なぜ小倉昌男なのか。それは本書が綿密な取材を重ねて、今まであまり語られることのなかった小倉のプライベートに踏み込んでいるからである。小倉の心の中がどうであったのか、あるいは家族と真剣に向き合った孤独な1人の男・小倉昌男とはどんな人間だったのかに迫る好著である。夫として妻への愛、そして父親として娘への愛のあり方を考えされられる。 小倉昌男終焉の地はアメリカである。末期ガンの病床の身でありながら、10時間のフライトをおしてまで黒人のアメリカ人将校と結婚した娘が住むロサンゼルスまで行って、そこを最後の地としたのは何故なのだろうか。あるいは小倉の晩年は、時価46億もの私財を投じた「ヤマト福祉財団」の障害者支援事業に傾注したものだった。小倉は生前、何故障害者福祉なのか、多くを語らなかったが、著者はきっと強いきっかけがあったに違いないと憶測するのだった。 こうして、著者はその謎を解くべく、小倉周辺の取材を始める。そしてカギは彼の家庭にあることを突き止めるのだった。先ずは娘である。娘の真理はすぐに切れて暴発する問題児だった。周囲は我がまま放題の困った娘と見ていた。しかし、実は境界性パーソナリティ障害という精神病だったのだ。今と違ってその当時は、そんな病名も存在しないし、世間の偏見も強いものがあった。多忙を極めた小倉に代わって真理と向き合ったのは母親であった。しかし、精神疾患患者への接し方に関する情報が全くと言っていいほどない時代であった。妻と娘は衝突を繰り返すのみであった。やがて妻はうつとなり、アルコールに依存していく。そして、決定的な時が訪れる。妻の死である。 娘の真理には声を荒げず、黙って包み込んで見守るのが小倉の流儀だった。周囲には甘やかし過ぎと映った。しかし、今では心の病にはそれが最善であるのが常識となった。それでも、多忙を理由に真理と向き合えなかったこので、生涯小倉は自分を責め続けた。それが人生最後の時を娘の側で過ごすと決めた理由であったのだろう。また、障害者福祉、中でも精神障害に人生の後半を捧げたのは、この娘と妻の存在が1番の理由であったのだろう。
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タイガー
(無題)
会社では完璧な経営者。家では存在感のないお父さん。名経営者と言えども人の親というのがよくわかる。ビジネス書というより小説に近い感じ。それくらい小倉さんの軸がぶれないキャラということか。
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