雷電本紀(小学館文庫)

飯嶋 和一

2005年7月1日

小学館

764円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

異常気象、凶作、飢餓、疫病の蔓延と、厄災ばかりがうち続いた江戸天明期、後世まで語り継がれる一人の力士が彗星のごとく現れた。巨人のような体躯と野獣のような闘志で豪快に相手を投げ倒していくこの男に、抑圧され続けてきた民衆は未来への希望の光を見た。実在の伝説的相撲取り「雷電」の一生を、緻密な時代考証を踏まえドラマチックに描いて、飯嶋和一の名を世に知らしめた大傑作歴史巨編の文庫化!

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Readeeユーザー

(無題)

2019年01月28日

 飯嶋和一「雷電本紀」読了。  江戸時代に実在した関取、史上最強と呼ばれる力士「雷電」の伝記的作品。先日読んだ「始祖鳥記」と同様に、単なる伝記ではなく雷電の生き様を、その時代の人々、特に虐げられた庶民の思いの代弁者として描いている。  前半は秀逸、特に雷電の故郷の先輩力士でもある「日盛」が信州一揆で命を散らす場面は身震いをするほどだった。さまざまなライバルとの対戦シーンなども実に雰囲気や、それぞれの力士の背景がよく描かれていて引き込まれる。  一方、「始祖鳥記」でも感じたのだが、主人公の晩年から作品の結びにかけてが、どんどん尻すぼんでいってしまう。これは、作者があえてそうしているようにも思う。  あと、飯嶋さんの作品を読んだのは、これが2作目だったのだけど、どちらも主人公以外の登場人物が魅力的だ。

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