サラバ!(下)
西 加奈子
2017年10月6日
小学館
748円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
姉・貴子は、矢田のおばちゃんの遺言を受け取り、海外放浪の旅に出る。一方、公私ともに順風満帆だった歩は、三十歳を過ぎ、あることを機に屈託を抱えていく。そんな時、ある芸人の取材で、思わぬ人物と再会する。懐かしい人物との旧交を温めた歩は、彼の来し方を聞いた。ある日放浪を続ける姉から一通のメールが届く。ついに帰国するという。しかもビッグニュースを伴って。歩と母の前に現れた姉は美しかった。反対に、歩にはよくないことが起こり続ける。大きなダメージを受けた歩だったが、衝動に駆られ、ある行動を起こすことになる。
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小説が書きたくなる小説
自分の「信じるもの」を探すことは、誰も避けては通れない人生の命題であると思った。信じるもの、というのは、自分の軸であり、基準である。きちんと向き合って、考えるには難しすぎる人生の意義、残酷さ、叫んだり、泣き出したくなるような感情を、自分なりに受け入れる心の入れ物、世の中を見るメガネ、ものさし、そんなようなもの。信じるものがなくても生きられているという人は、生きられていると思っているだけで、ただ問題から逃げているだけなのだ。「サラバ!」とは、実態がないし、この物語を読んでいない人に「信じるものがサラバって何?」と聞かれた時の1番手っ取り早い説明は、「この本を読んで」と言うほかないのだが、サラバは誰の心の中にもある。自我とも思い出、記憶とも違うと思う。自我や思い出や記憶の中でも、特別な、キラキラした部分とキラキラしてない部分を全部集めた、自分が自分を形成してきたもので、人によって形は違くて、普段忘れているから取るに足らないものであったなんてこと絶対にない。 幼少期から今に至るまで、そしてこれから先も私の物語は続いていて、その物語の主人公はもちろん私で、私は私のダメなところを誰よりも知っているから、嫌いでもあるけど、やっぱり大好きなんだ。私が私として生きた証として、誰に見せるでもない、自分のために、私も私の人生を綴りたい。そのためになんの努力もしていないけど、私だっていつか小説が書きたい。と思った。すごく思った。 私を1から再構築するかのような小説だった。私は生きているなあ、と思った、強く。
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