日本沈没(下)
小松 左京
2006年1月1日
小学館
628円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
とにかくその日が来る前に。政府は日本人全員を海外へ移住させるべく、極秘裏に世界各国との交渉に入った。田所博士は週刊誌で「日本列島は沈没する」と発言して、物議をかもしていた。小野寺は極秘プロジェクトからはずれて、恋人・玲子とともにスイスに旅立とうとするが、運悪く玲子は、ついに始まった富士山の大噴火に巻き込まれ行方不明となってしまう。そして、日本沈没のその日は予想外に早くやってきた。死にゆく竜のように日本列島は最後の叫びをあげていた。日本人は最悪の危機の中で、生き残ることができるのか。未来をも予見していた問題作。
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yamaura
日本人論
小松左京氏は初めて読む。自分の生まれる前の作品で、もちろん順番が逆であることは承知しているが、シン・ゴジラを連想した。 最初は鈍重かな?とも思ったけれど、日本沈没というXデーが近づくにつれ、政府、対策本部、諸外国、一般市民、日本という国土自体がそれぞれ描写され、私のように群像劇が好きな者には堪らない。 また、ただのスペクタクル、お涙頂戴などでは決してなく、沈没はあくまで題材であり、それを通して日本人のアイデンティティを問うのが主題。 小説発刊から約半世紀。阪神淡路や東日本大震災等、実際に大災害を経験し、社会はIT化を受け、格差は増大。そんな中、変わる物と変わらない物はなんだろう、今の日本人は、沈没の時、どんな行動を取るだろう。
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