史上最強の内閣

小学館文庫

室積 光

2013年3月31日

小学館

680円(税込)

小説・エッセイ

北朝鮮が、日本に向けた中距離弾道ミサイルに燃料注入を開始した。中身は核なのか。支持率低迷と経済問題で打つ手なしの自由民権党の浅尾総理は、国家的な有事を前に京都に隠されていた「本物の内閣」に政権を譲ることを決意した。指名された影の内閣は、京都の公家出身の首相を筆頭に、温室育ちの世襲議員たちでは太刀打ちできない国家の危機を予測し、密かに準備されていた強面の「ナショナルチーム」だった。果たして、その実力は?-。

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-- 2019年12月26日

室積光「史上最強の内閣」

北朝鮮が日本に核ミサイルを発射する準備を着々と進めている、という情報がもたらされる。現総理である、自由民権党の党首である浅尾は、二世三世議員ばかりの現内閣では、この事態は処理しきれないと判断した。そこで、先代から話だけは聞かされていた『一軍内閣』を京都から呼び寄せることにしたのだ。 これは、一部の議員は知っていて、アメリカやロシアも知っている秘密らしいのだけど、京都には、現内閣では対応しきれない事態に陥った時だけ登場する、精鋭ばかりを集めた一軍内閣が存在するらしい。二条首相をトップとする、問題解決における精鋭集団が呼ばれ、北朝鮮からの脅威に対処することになる。 朝地新聞の半田と、東亜テレビの小松は、この歴史的な瞬間をすべて記録するよう、一軍内閣に密着取材することが許されるのだけど…。 というような話です。 本書は、この荒唐無稽さを楽しめるかどうか、で評価が変わるだろうなぁ、と思います。 とにかく、あらゆる点で荒唐無稽な話です。僕は正直、政治的な知識とかスタンスとかまるでない人間なんで分からない部分もあると思うんですけど、政治に詳しい人が読んだりしたら、もっともっと荒唐無稽なんだろうなぁ、という感じはします。 こういう小説を読んで、『リアリティがない』っていって切り捨てる人ってたぶんいるんだろうけど、それはこの作品の読み方としては間違っているだろうな、と思います。リアリティを求めるなら、もっと別の作品を読めばいい。本書は、荒唐無稽さを楽しむ作品です。んなアホな、と突っ込むことを楽しめる人が読めば面白く読めると思います。 しかし、ここまで荒唐無稽だと、些細なことは気にならなくなりますね、正直。一軍内閣が京都にいて、有事の際にはピンチヒッターとして登場する、なんていうムチャクチャな設定から始まると、テレビ局と新聞社の人間が専属で取材を許されるなんていうアホみたいな設定が正直そこまで気にならなくなります。不思議ですね。 その一方で、一軍内閣の人たちが語る教育とか平和なんかの話は、すっと耳に入ってきたりします。現実の政治家が同じようなテーマで話をしてるのを聞いても、あーアホみたいなこと言ってるなぁ、としか思わないだろうけど、一軍内閣の人たちの言葉は、シンプルだし嘘がないなぁ、という風に聞こえます。僕には政治信条みたいなものはまるでないんで分からないんですけど、本書で語られるいろんな意見も、右寄りだぁ左寄りだぁ色々あるんでしょう。正直僕にはそういうことはよくわかりません。けど、話している内容ではなくて、こういう風に話してくれれば僕らにもちゃんと伝わるんだけどなぁ、という話し方をしていて、内容はともかく現実の政治家にはこういう話し方を参考にして欲しいなぁ、と思ったりします(とはいえ、本書の一軍内閣の人たちの話し方を現実にすれば、マスコミがあーだこーだ揚げ足取りとかするんでしょうけどね。だから、マスコミが悪い、とも言えるのかもですけど)。 まあこういう荒唐無稽な話を通じて、本当に正しいもの・大事なもの・守るべきもの・語り継いでいくべきもの・捨ててしまってもいいもの・勘違いしていたもの、そういうことについて考えるきっかけになるかもしれない、と思います。平和とは何か、という一つだけ取ってみても、いろんなことを考えると本当に難しいんだろうなぁ、と思います。 人によって評価が相当分かれる作品だろうけど、難しいことを考えないで流れに身を任せれば楽しく読めるんじゃないかと思います。興味があれば読んでみてください

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