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(無題)
再読。 アーサーウェイリーの源氏3巻が出るまではあまり本を特に外国文学を読む気にならない。 久々に「猫と庄造〜」を読み返す。 何度読み返しても面白い。 春琴抄と同様にこの話もある意味マゾヒスティックな話といえる。リリーは「女」なのだから。解説にある神であるかどうかはわからないがリリーは女性の決してこの世に存在すべくもない理想型であるといって良い。源氏物語で言えば夕顔に相当するだろう。 だからこの物語は「猫と庄造」、そしてその他のどうでも良い二人のおんなの話である。 谷崎潤一郎は女に隷属する話が多いが、あくまでも知性の点では圧倒的に男が勝る「痴人の愛」や、人間と小動物といった関係性を持つ「猫と庄造」、地位も気位も女の方が高いがその女自身が盲目である「春琴抄」...といったように、立場上は優位でありながら且つ女に隷属願望を持つという複雑な男の心理の物語が多く、そのエロティシズムが魅力的である。 「猫と庄造」では猫リリーが女の役割を担い、「瘋癲老人日記」では犬のレスリーが男の役割を担っているのも興味深い。
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