
さがしもの
新潮文庫 新潮文庫
角田 光代
2008年11月30日
新潮社
649円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
「その本を見つけてくれなけりゃ、死ぬに死ねないよ」、病床のおばあちゃんに頼まれた一冊を求め奔走した少女の日を描く「さがしもの」。初めて売った古本と思わぬ再会を果たす「旅する本」。持ち主不明の詩集に挟まれた別れの言葉「手紙」など九つの本の物語。無限に広がる書物の宇宙で偶然出会ったことばの魔法はあなたの人生も動かし始める。
本棚に登録&レビュー
みんなの評価(57)
starstarstarstar
読みたい
111
未読
79
読書中
14
既読
430
未指定
389
みんなのレビュー (3)
参考になった順
新しい順
本との出会い
starstarstar 3.0 2021年02月18日
短編集で、各主人公が、人生の何らかの場面での本との出会いについて描かれています。程々に面白かったけど、私は後書きが一番面白かった。小学生の頃、夢中になって本を読んでいた頃を思い出しました。今も本が大好きだし一生読み続けていきたいけど、あの頃のようには読めない。(時間と余裕があの頃よりないのだけれど)
どの話だったか、同じ本を何回も読み直して、読み直すたびに違った捉え方になるっていうのが凄く共感できたな。私にとってもそういう本が何冊かある。そんな出会いってすごく幸せなことだと思う。読書ってただの趣味で、本を読まない人もいくらでもこの世にはいて、私の夫もそんな1人だけど。私は読書を通して本当にたくさんの事を学んで、幸せな時間を与えてもらえて、読書が好きで本当に良かったなと思います。そんな事を改めて感じさせてくれた本でした。
このレビューはネタバレ要素を含みます全て見る
いいね0件
登録しました。
close

ログイン
Readeeのメインアカウントで
ログインしてください
Readeeへの新規登録は
アプリからお願いします
- Webからの新規登録はできません。
- Facebook、Twitterでのログイ
ンは準備中で、現在ご利用できませ
ん。
シェア
X

LINE
リンク
楽天ブックスサイト
楽天ブックスアプリ
© Rakuten Group, Inc.
キーワードは1文字以上で検索してください
Readeeユーザー
(無題)
本にまつわる短編集。一編目の「旅する本」が由依の教科書に載っていたらしく、借りてきてたので私もついでに読んだ。 恋愛と絡めたお話が多かった。 ある女の人が、本の趣味が同じ人と付き合ったものの、結局別れることとなり、本棚を整理しながら思い出を振り返っていく話にはいろいろ考えさせられた。ある時期に特定の音楽ばかりを聞いていると思い出と結びついてしまって嫌になることはよくあるのだけれど、本もそういうことあるんだなと。まあ確かに「これはこの時期に読んだ」って強烈に覚えている本いくつかあるもんな…獣の奏者とか。本好きと付き合うのも考えものだな。 最後に載っていたあとがきエッセイ「交際履歴」がとても良かった。 本と人との関わりかたの多様性について、私が常々考えていることがうまくまとめられていて、深く頷いてしまった。 良すぎて抜き書きしにくい、、買おうかなあ 一部抜粋。 (略) スポーツをする。ゲームをする。レストランでおいしいものを食べる。温泉に入る。そういうことと、本を読むということは、あまりかわりがないように私には思われる。スポーツしなくても、ゲームしなくても、おいしいもの食べなくても、温泉に入らなくても、ぜんぜん問題なく生きていけるが、けれどそこに何かべつのことを求めて、それらのことを人はする。そのなかに、本を読むという行為も含まれている。そうして、本を読むのは、そのような行為のなかで、もっとも特殊に個人的であると、私は思っている。そう、だれかと一対一で交際をするほどに。 (略) 本の一番のおもしろさというのは、その作品世界に入る、それに尽きると私は思っている。一回本の世界にひっぱりこまれる興奮を感じてしまった人間は、一生本を読み続けると思う。そうして私は、そのもっとも原始的な喜びを、保育園ですでに獲得していた。 (略) (星の王子さまを小学2年で読んでつまらないと感じたが、9年度に偶然もう一度読んだら面白かったという話) 以来、私はおもしろいと思えない本を読んでも、「つまらない」と決めつけないようになった。これはやっぱり人とおんなじだ。百人いれば、百の個性があり、百通りの顔がある。つまらない人なんかいない。残念ながら相性の合わない人はいるし、外見の好みもあるが、それは相手が解決すべき問題ではなくて、こちら側の抱えるべき問題だ。つまらない本は中身がつまらないのではなくて、相性が悪いか、こちらの狭小な好みに外れるか、どちらかなだけだ。そうして時間がたってみれば、合わないと思っていた相手と、ひょんなことからものすごく近しくなる場合もあるし、こちらの好みががらりと変わることもある。つまらない、と片づけてしまうのは、(書いた人間にではなく)書かれ、すでに存在している本に対して、失礼である。 (略) 今では私は、話に追いつくために、純粋な知識のために本を読むようなことはしない。十五年かけてわかったのだ。世のなかには私の五百倍、千倍の本を読んでいる人がいて、そういう人に追いつこうとしても無駄である、そんな追いかけっこをするくらいなら、知識なんかなくたっていい、私を呼ぶ本を一冊ずつ読んでいったほうがいい。 (略) あんまりおもしろい本に出会ってしまうと、読みながら私はよく考える。もしこの本が世界に存在しなかったら、いったいどうしていただろう。世界はなんにも変わっちゃいないだろうが、けれど、この本がなかったら、その本に出会えなかったら、確実に、私の見る世界には一色足りないまんまだろう。だからこの本があってよかった。助かった。友達のいない、みんなのできることのできない、未発達のちいさな子どものように、そう思うのだ。 (了)
全部を表示
いいね0件