吉原御免状
新潮文庫 りー2-1 新潮文庫
隆 慶一郎
1989年9月28日
新潮社
880円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
宮本武蔵に育てられた青年剣士・松永誠一郎は、師の遺言に従い江戸・吉原に赴く。だが、その地に着くや否や、八方からの夥しい殺気が彼を取り囲んだ。吉原には裏柳生の忍びの群れが跳梁していたのだ。彼らの狙う「神君御免状」とは何か。武蔵はなぜ彼を、この色里へ送ったのか。-吉原成立の秘話、徳川家康武者説をも織り込んで縦横無尽に展開する、大型剣豪作家初の長編小説。
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(無題)
著者は実に勉強家であると実感した一書だった。江戸庶民の生活に切っても切れない入浴について、貴方はどれだけ知っているだろうか。私は風呂屋と湯屋の違いを本書で明確に知るところとなった。江戸時代の風呂は蒸し風呂が一般的であった、と多くの書物に書かれるが、そうではないことがよく分かった。庶民の生活など、当たり前の事なので、わざわざ記録することも無く、時代の経過とともによくわからなくなってしまうのだろう。著者のリアリティを追求する姿勢は、こんな所にも現れていて、作品に深みを与えている。 ところが、ストーリーの設定は奇想天外である。主人公の松永誠一郎は後水尾天皇の隠し子であり、宮本武蔵に育てられた剣の天才である。26歳になった誠一郎は、師・武蔵の遺言に従って吉原に庄司甚右衛門を訪ねるが、甚右衛門は既に死んだと聞かされる。そして風呂屋で誠一郎に親しく接してきた幻斎。誠一郎はわけもわからないうちに戦いに巻き込まれる。敵対するのが、裏柳生の柳生義仙。さらに謎として浮かび上がってくるのが「神君御免状」である。徳川家康が吉原を御免色里として庄司甚右衛門に与えた御免状である。 やがて幻斎が実は庄司甚右衛門であり、吉原戦闘集団が傀儡子一族であることが明かされると、物語は漂白の民対権力の代理戦の様相を帯びて来る。網野善彦史観が小説の形を取って生き生きと描かれている。
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世界観の統一
隆慶一郎氏の小説は、道々の輩という人々が描かれ、世界観が統一されている気がしており、入り込みやすいと感じます。一無庵風流記でも感じましたが、主人公はある種爽やかさを感じるのも世界観の統一に一役買っているのかもしれません。直接の続篇であるかくれさと苦界行、同じな流れの中にある影武者徳川家康、花と火の帝なども楽しみです。
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