噂
新潮文庫 新潮文庫
荻原 浩
2006年3月31日
新潮社
935円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。
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魅力なのは名島、小暮の刑事コンビ
女の子を襲い、足首を切り取るレインマン。しかし、ミリエルの香水をつけていると狙われないという―。ある広告代理店が仕掛けたWOM(口コミ)戦略。その噂は瞬く間に広がった。そして、しばらくたったあるとき、足首から先のない女子高生の死体が見つかる。 昨今、静かなブームという呼び声高い、都市伝説であるが、口承で伝わる情報の生々しさと、怖さ、危うさをうまく使った作品である。その情報が、どこから発生したのか、また、なぜ発生したのか、そしてそれは真実なのか。 なんといっても魅力なのは名島、小暮の刑事コンビ。味があり、また、元本庁の優秀なおっちゃんと、本庁で若くして警部補となった謎の美女のコンビ、というのがなんとも魅力的。話の展開もテンポよくサクサク進み、読みやすい。これは、この刑事コンビを軸としたシリーズモノとしていけるのではないかと思ったが、その期待は、最後の一行のセリフですべてが覆されてしまうのである。絶対、シリーズモノは無理であると。 この作品はミステリとしても、サイコサスペンスとしても、エンタテインメントとしても優秀な作品である。例えば、「レインマン」は単なる模倣犯なのか、犯人はいったい誰なのか。そして、犯人が判明した後、読み直してわかる怖さ。叙述トリックをうまく使っている。さらに、大団円を迎えたかに思えたあと、最後の一行の衝撃。このセリフへの伏線の張り方も秀逸で、印象付けられていただけに、背筋も凍るとはまさにこのことだなぁ、と思った。 結局は、一番怖いのは、集団心理に流される女、ということに他ならないのかなぁ。。これって思い込みによる女性蔑視??それとも、、真実??
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(無題)
おそらく「衝撃のラスト1行に瞠目!」っていうコピーに惹かれて読みたくなったのだと思う。だが完全に忘れてたので終始「なんでこの本読もうと思ったんだっけ」って考えてた。 作者が萩原浩さんなのにも驚いた。「海の見える理髪店」と作風が違いすぎて。文庫解説を読むと萩原さんは多種多様なジャンルの小説を書いているらしい。すごい。 広告代理店東京エージェンシーの西崎と加藤が、企画会社コムサイトに出向くところから物語ははじまる。コムサイト社長杖村は、ミリエル社の香水を売る戦略として、口コミ(WOM)の利用を発案する。ニューヨークからやってきた「レインマン」が少女を殺し、足首を持って行ってしまう。でもミリエルの香水をつけていれば大丈夫。そんな噂。 巧みなマーケティングは成功したが、その後まるで噂を模倣したかのような事件が発生する。 目黒署に勤める小暮と、本庁から派遣されてきた名島の二人が、犯人を挙げるべく捜査に奔走する。 警察側の人間の登場人物が多く、少々入り込むのに時間がかかった。大仰なトリックなどはなく、ひたすら小暮名島コンビの地道な捜査を丁寧に追っていく。終盤、犯人が明かされ、きれいに終わったなと思っていたところでの最後の1行。正直驚いたというよりは最後突き落とされて嫌な気分で終わったという感じだった。菜摘と小暮のほのぼのシーンは好きだったからな…。 おそらく読み直せば伏線などもあっておもしろいのではないかという予感がある。感覚としてはかなり作り込まれているミステリーではあると思う。ただいかんせんグイグイ引き込まれる類のものではなかったので、しばらくしてから読み直そうかな。
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隠しナイフ
所謂バディもののサスペンス小説。 ある企業が宣伝のために流布した噂と、その噂通りに行われる犯罪。 この難事件に挑む所轄の中年刑事にして、シングルファーザーの主人公小暮と一課の若手女警部補。 その結末は… 美味かった。上手かった。 自分好みのサスペンスであり、かなり調べあげてるなと感心するしかない警察事情がふんだんに盛り込まれたでした。 登場人物の個性もハッキリしていて読みやすく、現代の若者に向けたメッセージのような物も感じました。 クライマックスまでの流れは見事で一気を読んでしまいましたが、本当に驚いたのはラスト1行。 トドメを後ろから刺された。 そんな結末に、ついつい拍手してしまいそうでした。
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黒澤
最後の1行。
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