月の上の観覧車
新潮文庫
荻原 浩
2014年3月31日
新潮社
649円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
閉園後の遊園地。高原に立つ観覧車に乗り込んだ男は月に向かってゆっくりと夜空を上昇していく。いったい何のために?去来するのは取り戻せぬ過去、甘美な記憶、見据えるべき未来ーそして、仄かな、希望。ゴンドラが頂に到った時、男が目にしたものとは。長い道程の果てに訪れた「一瞬の奇跡」を描く表題作のほか、過去/現在の時間を魔術師のように操る作家が贈る、極上の八篇。
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ニ周目
人生に二週目があるばいいのに】 四十代以上の、人生の折り返しを過ぎた大人たち。 進行方向を見つめる時期が過ぎて、回れ右をした世代。 もしもあのときこうしていれば・・・・。 そう、ふと、思うことありませんか? 自分の人生を振り返る、そんな物語が詰まった一冊です。 結婚とは博打のようなものだ。 死が二人を別つまで。 結婚式のときには牧師の言葉を疑わなかった。 君となら一生を共にできる。 かつてはそう信じていたはずなのに・・・。 いつからか、君はいい出目ではなくなった。 それは、君にとっても同じだろう。 わかりあう努力を怠ったわけじゃない。 最初からわかりあえないもの同士だったのを、 気が付かないふりをしていただけだ。 お互い違う部分を認め合う余裕もない。 どこまで行っても交差しない路。 もしもあのときこうしていれば・・・・・。 君のせいじゃない。 僕のせいじゃない。 君に何か足りなかったのかな。 僕に何か足りなかったのかな。 ・・・してやれることがあったのかもしれない。 もしもあとのときこうしていれば・・・・。 きっと人生はその繰り返しなのだろう。 たくさんたくさんあるだろう分かれ道。 もし違う道を選択していたら、こうはならなかっただろうか。 道をどんどん歩いているうちに、 辺りが見たこともない風景になっていて、 心細くなって振り返ると、 一緒に歩いていたはずの道連れが誰もいない。 気が付けば、自分は独りぼっち。 もしもあとのときこうしていれば・・・・。 隣に誰か一緒にいてくれているだろうか。 一緒に道を歩いていてくれてるだろうか。 人生に二週目があればいいのに。 そうしたらきっともっとうまくやれる。 人生に二週目があればいいのに。 そうしたらきっと、もっと、幸せに。なれるだろうか。
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