転迷

隠蔽捜査4

新潮文庫 新潮文庫

今野 敏

2014年5月31日

新潮社

781円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

大森署署長・竜崎伸也の身辺は、にわかに慌しくなった。外務省職員の他殺体が近隣署管内で見つかり、担当区域では悪質なひき逃げ事件が発生したのだ。さらには海外で娘の恋人の安否が気遣われる航空事故が起き、覚醒剤捜査をめぐって、厚労省の麻薬取締官が怒鳴り込んでくる。次々と襲いかかる難題と試練ー闘う警察官僚竜崎は持ち前の頭脳と決断力を武器に、敢然と立ち向かう。

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Readeeユーザー

(無題)

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3.4 2018年01月26日

上意下達の階級社会に空気を読まないマイペース人間がいたら、組織から弾き出されることは間違い無い。ましてや、そんな人間が生き生きと本領を発揮することなんて事は出来るはずが無い。社会秩序の維持を最大目的とする警察組織にあってそんな人間が生き延びる道があろうか。ところが、警察の現場第一線では、職人気質の個性豊かな刑事がマイペースを貫く事もあるようだ。何故なら第一線では結果が全てで、刑事事件の犯人を検挙しさえすれば普段は何をやっていても許されるからだ。しかも彼らは大概ノンキャリで、出世は最初から頭の中に無い。本書の主人公・竜崎伸也は所轄の署長に過ぎないが、身分は警視長、バリバリのキャリアである。ところが現場の刑事と同じ様に竜崎の頭の中には事件の解決しか無い。 明らかな降格人事で大森署に赴任して来たが、持ち前のキャラクターは丸くなることを知らない。つまり、頭脳明晰で合理的思考の持ち主にして警察官の任務に忠実な正義感の人、但し、空気を読まないので周りから煙たがられが、誰もが実力に1目置かざるを得ない、こんな人物が国際的スケールの難事件を解決して行くのだから、面白くないわけが無い。今野敏、また新たな作家に巡りあって楽しみが増えた。 いまさら、何をトンチンカンな事を言っているのだ、今野敏を知らなかったのか、との声が聞こえてきそうだ。本書は大人気シリーズ隠蔽捜査第4弾でドラマ化もされているのだ。 大森署管内でひき逃げ事件が起こった。隣接署管内でも殺人事件が発生していた。この事件には共通点があった。被害者が外務省の退職OBと現役職員だったのだ。さらに、管内での麻薬取引に関しては厚生労働省の麻薬取締官から警察に強力な抗議があった。一方、大森署管内では放火事件が多発していた。加えて、竜崎の娘の婚約者がカザフスタンからモスクワに向かう事故機に搭乗していた可能性があり、竜崎は外務省の知り合いに連絡を取るのだった。 このように、一見脈絡も無く発生した事件は竜崎の手によって一筋の流れが明確になり、やがて収束への道筋が明らかになって行く。検察庁、外務省、厚生労働省と権力の中枢と国際麻薬シンジケートを舞台に竜崎の手腕は冴えを見せる。

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