かまいたち改版
新潮文庫
宮部みゆき
1996年10月31日
新潮社
649円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
夜な夜な出没して江戸市中を騒がす正体不明の辻斬り“かまいたち”。人は斬っても懐中は狙わないだけに人々の恐怖はいよいよ募っていた。そんなある晩、町医者の娘おようは辻斬りの現場を目撃してしまう…。サスペンス色の強い表題作はじめ、純朴な夫婦に芽生えた欲望を描く「師走の客」、超能力をテーマにした「迷い鳩」「騒ぐ刀」を収録。宮部ワールドの原点を示す時代小説短編集。
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町奉行所の業務の一つ、江戸の町のパトロールや事件の探索、いわゆる警察業務に従事していたのは町同心、南北あわせてもたった30名前後であった。これだけの人数で江戸の治安を維持するのは不可能だったので、自治組織と共に情報収集や事件探索に手足となって働く目明しや岡っ引きを必要とした。正式の制度ではないので、同心がポケットマネーで雇っていたのだ。目明しは薄給にもかかわらずなり手があったのは何故か。一つは権力をかさに着て、付け届けから強請り・たかりまで合法・非合法に金を稼げたからである。目明かしの弊害は度重なる幕府の目明かし使用禁止命令で証明される。しかし、必要悪とは知りつつも、目明かしを使わざるを得なかったのである。 「かまいたち」は辻斬りが頻発し、かまいたちと呼ばれる下手人はなかなか尻尾を掴ませない。そんなとき、おようが辻斬りを目撃してしまう。その犯人である若者が、おようの家の向かいに越してきたのである。実はこの男、大岡が放った耳だったのだ。そしてラストの、幸せな予感をさせるおよう父の一言は宮部らしい。 本書は宮部みゆきの初期短編集であるが、「迷い鳩」と「騒ぐ刀」は、お初が主人公でシリーズ化させると著者は後書きで述べている。お初は超能力を持った少女で、変わったものが見えるようになった。内藤新之助は質に入れた脇差しを受け出しに行ったが、替わりに戻った脇差しはいわく付きのものであった。うめき声をあげるのである。お初は、この脇差しからあるものを感じる。
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一流のミステリーだが時代小説。宮部ワールド炸裂!
江戸の町を舞台に、辻斬り、詐欺などの事件が展開していく。一流のミステリーであるが、人として大切なことを教えてくれる作品だと思う。読了後の爽やかさが、やっぱり宮部作品だと感じた。 何といっても魅力的なのは、登場人物なのだ。筆者が描く登場人物は、みんな江戸の町に生きる庶民で、直向きに真っ直ぐ生きている。 4つの小編が入っている。1つ目は本書のタイトルにもなっている「かまいたち」。かまいたちと呼ばれる辻斬りを目撃してしまったヒロインは恐怖で怯えながらも正義のため、父親のために悪と闘おうとする。二転三転する展開にのめり込んで読んだ。 2つ目は「師走の客」。詐欺に遭った家族が、飼い犬のお陰で詐欺から救われる。正直者が馬鹿をみない小気味よい話だった。 3つ目の「迷い鳩」、4つ目の「暴れる刀」は霊能力をもった16歳のお初が、二人の兄と事件を解決していく。特に「暴れる刀」は多くの陰惨な殺人が起こる。人の悪意や悲しみはここまでかと思うくらい暗い話だ。どうか登場人物たちが負けませんように。最後に幸せが訪れますようにと祈りながら読んでしまった。 このお初の物語には続きがあって、「霊験お初捕物帳」として「震える岩」「天狗風」の2冊の本が出ている。(この後読む予定) 読んでよかった!
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