飲めば都
新潮文庫
北村 薫
2013年10月29日
新潮社
781円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
人生の大切なことは、本とお酒に教わったー日々読み、日々飲み、本創りのために、好奇心を力に突き進む女性文芸編集者・小酒井都。新入社員時代の仕事の失敗、先輩編集者たちとの微妙なおつきあい、小説と作家への深い愛情…。本を創って酒を飲む、タガを外して人と会う、そんな都の恋の行く先は?本好き、酒好き女子必読、酔っぱらい体験もリアルな、ワーキングガール小説。
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(無題)
何がボヤきで何が愚痴かーー境界線は定かでない。しかしながら、前者にはいささかのユーモアと余裕があり、後者はひたすら暗い……ような気がする。(p.66) なるほどなあと思った。ユーモアと余裕ね…愚痴を聞いてあげたくなる人とならない人の違いはその辺にあるんだろうな。 雑誌編集者の小酒井都(こさかいみやこ)が主人公。こやつ、もっぱら酒好きで、しょっちゅう飲み過ぎて我を忘れ、記憶をとばす。でも仕事には一生懸命、まっすぐな都。先輩と仲良く酒を飲み、上司と一悶着起こし、失恋したり恋したり、そんな日々が軽やかな語り口で綴られている。 出版社の仕事が垣間見えるかなと思って借りたのだが酒を飲むシーンが多く、そこまで出版の仕事を突き詰めて描いているわけではなかった。都もその友達のサナエさんも良くない酔い方をするのでそこまで飲むな!とついツッコミたくなる。上司のカバンに吐いたり上司に赤ワインをぶっかけたり、無意識で全裸になったり、ほんとよろしくない。2000年あたりの日本が舞台なので今よりのどかなのかな。 都の夫となる版画家、小此木(おこのぎ)さんことオコジョさんは穏やかでとっても好ましいキャラクターだった。本の最後についている猫の版画もいい。シンプルなのだけれど登場人物の性格が滲み出てくるような素敵な猫のイラストだった。 北村薫さん、知らない作家だなーと思ったら直木賞とってるのか。へえ。
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