体の贈り物

新潮文庫 新潮文庫

レベッカ・ブラウン

2004年10月31日

新潮社

693円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

食べること、歩くこと、泣けること…重い病に侵され、日常生活のささやかながら、大切なことさえ困難になってゆくリック、エド、コニー、カーロスら。私はホームケア・ワーカーとして、彼らの身のまわりを世話している。死は逃れようもなく、目前に迫る。失われるものと、それと引き換えのようにして残される、かけがえのない十一の贈り物。熱い共感と静謐な感動を呼ぶ連作小説。

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saochan

淡々とした語り口調だからこそ

starstarstarstar 4.0 2020年10月18日

シンプルな文で淡々と書かれているからこそ考えるものがある。悲しむこと、悼むことは必要なこと。でもあまりに悲しいとその気持ちに蓋をしたくなる。 病気になってから出会った人と、元気でいた、病気になんてならないと思っていた人が病気になった時は違う。そんな違いはあるべきではない。でもあるのだ。かかった人は皆、かつてはかかっていなかったのであり、かかった人は皆、1つの喪失なのだ。 という一文から身近な人を病気で亡くした時のことを思った。病室で見た姿はあまりに小さくて、たった数ヶ月でこんな姿に変えてしまう病気の恐ろしさと、受け入れたくない思いでただ泣くことしかできなかった。感謝を伝えたらそれが別れの挨拶になってしまいそうで、なんてことない事しか話せなかった。体は殆ど動かないのに、何かを伝えたいような強い目が今も忘れられなくて、もっとたくさん時間を過ごしたかったし話したかったなど思う。

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