何者

朝井 リョウ

2012年11月30日

新潮社

1,650円(税込)

小説・エッセイ

影を宿しながら光を探る就活大学生の切実な歩み。あなたの心をあぶり出す書下ろし長編小説。

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花藤もも

(無題)

starstarstar 3.0 2020年05月16日

就活の課題作文でモチーフにした。 御社から弊社になったので、思い入れのある作品になった。

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Readeeユーザー

(無題)

starstarstarstar 4.0 2018年01月27日

SNS、ソーシャルネットワークシステムは、今更そのなんたるかを説明するまでもなく、人々のコミニュケーションツールとして日常に浸透していますね。わけてもこの小説は、Twitterを日常的に使いこなしている若者達が主人公で、SNSによるブァーチャルコミニュケーションとリアルコミニュケーションの妙が小説の面白さの重要な部分を占めています。その辺を肌感覚で分かる事がこの小説を楽しめる前提となります。まず小説ですから、本の体裁としては縦組みが当然ですね。ところが本書を開いて大扉をめくると、普通は目次があるページに横組で6人分のプロフィールが描かれます。しかもそれはTwitterのアカウントのプロフィールです。この辺を当たり前のものとして受け入れられない読者は、本書を読み続けるのは辛いですね。また、本書におけるtwitterのつぶやきが物語の重要な要素にもなっています。このように本作の表現様式は、今までに無かった新しいタイプのものです。そこには、SNSを小説のモチーフに使うことで時代の先端を担おうとの気負いは全く感じられません。むしろ、自然にそこにあるものを、あるがままに描いているところに、時代との同時性を強く感じます。 また、物語中のそこかしこに配置された登場人物たちのツイートは、ときに彼らの仮面であったり、本音であったり、さまざまです。いや、Twitterの裏アカウントでしか、本音を漏らせない登場人物の不気味さが本編の主要テーマといえます。人は誰しもが役割を演じて、それらしく振る舞っています。職業人としての顔であったり、家庭の中で父親であったり母親であったり、子供であったりします。そして、大人であることや子供であることを問わず、あたかも生得のように絶妙な距離感で人間関係を成り立たせています。しかもそこには、例え親子の間でも絶対に口には出来ない事柄を秘めているからこそ、微妙なバランスを保っていることもあります。口外出来ない事柄が身近な人々をこき下ろす、上から目線のものであったり、その内容をTwitterの裏アカウントを使って書き込んでいたとしたら、貴方はその人をどう思うでしょうか。また、その人の社会的評価はどうでしょうかね。本書の主人公は何者@nanoimonoのアカウントでそれをして自己満足していました。そして、人生の傍観者とも言うべき態度は、就活という社会のフィルターにそれを見抜かれ、内定0の結果となりました。ですから就職留年して今年、就活2年目、ギリギリまで内定が出ません。モラトリアムとしての学生から、就職して何者かになれると信じてきた拓人が、自らの殻を打ち破って今までと違う何者かになれたのは、裏アカウントで散々こき下ろしてきた女子大生の言葉でした。

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