新リア王(下)

高村薫

2005年10月31日

新潮社

2,090円(税込)

小説・エッセイ

息子たちに乗り越えられた父はひとり魂の荒野を目指すー21世紀初頭に小説が行き着いた、政治と宗教の極北。

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とも

(無題)

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3.9 2018年03月08日

福澤榮が永田町から逃げるように姿を消してから、丸2日が過ぎた3日目の朝。息子彰之とその愛人杉田初江及びその間に生まれた秋道の現在までが語られる。この間、僧彰之の業火に苛まれる仏道修行はといえば、一向にはかばかしく無い。一方、父榮は時代の大きな変化の局面に対峙し、戸惑っていた。それは原発と原子力船むつ、核燃料サイクル施設である。高村は福沢榮に「60年代当初から、あくまで採算性と利潤を追求すべき民間と、そうでない技術開発一直線の御用研究者集団の二頭が、それぞれ微妙に違う方向を向いておったことだけは確かだった。今日原子力事業がかくも信頼を欠いているのは、事業を推進していく仕組みそのものには根本的な不備があるということだ。」と言わせている。長男の参議院議員・優と官僚の甥・貴弘によって議論されたポストモダニズムの時代、次代を担う彼ら二人は、確実にその時代をつかんでいた。しかし、その時代を肌で感じられない榮が見いだすのは荒野であった。田中角栄と竹下登の代理戦争の結果、父親を裏切って県知事に立候補することになった長男・優、そして優の後援会長で福澤建設社長の次男・肇。まさにリア王の様相をそのままになってきた。最後に庶子の息子彰之が語られるが、読者の予想に反して仏法による救済は語られていなかった。

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