マイ仏教
新潮新書
みうら じゅん
2011年5月16日
新潮社
836円(税込)
人文・思想・社会 / 新書
人生は苦。世の中は諸行無常。でも、「そこがいいんじゃない!」と唱えれば、きっと明るい未来が見えてくる。住職を夢見ていた仏像少年時代、青春という名の「荒行」、大人になって再燃した仏像ブーム。辛いときや苦しいとき、いつもそこには仏教があった。グッとくる仏像、煩悩まみれの自分と付き合う方法、地獄ブームと後ろメタファー、ご機嫌な菩薩行…。その意外な魅力や面白さを伝える、M・J流仏教入門。
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(無題)
仏教者にとって修行の目的は言うまでもなく成仏ですよね。ところが、私たちが日常的に使う成仏という言葉の意味するところが死ぬことであったり、死んだ人を指して仏と言ったりすることがありますね。こんな大いなる誤りがどうして出来上がったのかと言えば、日本古来の死生観が仏教に入り込んで、日本独自の仏教が出来上がっていったのですね。また、お盆の風習もおかしいですね。成仏した人がのこのこ帰ってくるなんて、自己矛盾というものですよ。お盆は、古神道における先祖供養の儀式や神事を、江戸幕府が庶民に仏教式で行う事を強制し、仏教行事の「盂蘭盆」が習合して現在の形が出来たようです。仏教者がキチンと説明せずに、お布施ばかりをありがたく頂いて帰る様を見ると、恭しい顔付きの裏で舌を出しているような気がしてなりません。ま、目くじら立てずにそれが日本型の仏教と思い、ゆる〜く仏教を考えたほうが良いのかもしれません。 ゆるキャラやマイブームの名付け親・みうらじゅんがゆる〜く仏教を語ったのが本書です。語り口はゆるいのですが、その指摘は本質をついています。例えば『僕滅運動』の提唱があります。小乗仏教が個人の解脱を目指すものであれば『自分探し』は正しいですが、大乗仏教の真髄は菩薩の利他業であり、これをみうらじゅん流に言えば『自分なくし』であり、言葉を変えれば『僕滅』だと言うのです。僕滅は具体的にどうすればよいかというと、「何でこの俺が」というフレーズを禁句にすることだ、といいます。例えば奥さんに「家のゴミを出してきて」と頼まれたら、「なんで俺がゴミを出さなきゃいけないんだ」と思うのではなく「そうすれば妻が喜ぶのだから、ご機嫌を取るためにやろう」と思うようにするのだそうです。「機嫌を取る」なんて、なんだか作為的でネガティブなイメージがありますが著者はこれを「利他行」「菩薩行」と結びつけ、大乗仏教の思想にまで敷衍していきます。菩薩道の実践は、『ご機嫌取り』だと割り切れば楽ですね。しかも、説得力あります。こんな調子で若手僧侶の前で講演し、それが結構な人気だというのもうなづけますね。 もう一つ、「比較三原則」なんてのもあります。これは他人、過去、親と自分を比較してはいけないという、みうらじゅんの教えです。悩みの根源には『比較』があるからなんで、先ずは比較しなければ大分楽になるといいます。辛い時には「そこがいいんじゃない!」と口に出してみる事を勧めています。 口することで脳がその様に働き始めるというのです。これがみうら流の「念仏」なんだそうです。このように本書には、著者ならではの仏教解説がぎっしり詰め込まれていて、そこには本質に迫る熟慮の跡が見られます。葬式仏教に堕した宗教者には無い、生きた仏教を見出すことができます。
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Readeeユーザー
マイブームの造語者みうらじゅん氏の仏教エッセイ
仏教は難しいが、このエッセイを読んでから学ぶと、とっかかりがあってわかりやすいかも。
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