無頼のススメ
新潮新書
伊集院静
2015年1月26日
新潮社
770円(税込)
小説・エッセイ / 新書
「無類」とは、単なるアウトサイダーやドロップアウトのことではない。人としての心の持ち方、生きる姿勢のことをいう。情報や知識、主義やイズム、他人の意見や周囲の評価…安易に頼るな、倒れるな、自分の頭と身体でこの世の波乱万丈を突き抜けろ。ギャンブルや恋愛から、仕事、社会、戦争、死生観まで総まくり、著者ならではの経験と感性から紡ぎだされる「逆張り」人生論!
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(無題)
無頼の徒と言えば、悪い行いをする者、ならずもの、といった意味になるが、著者による「無類」とは、単なるアウトサイダーやドロップアウトのことではない。「頼るものなし」という覚悟のことで、人としての心の持ち方、生きる姿勢のことをいうのだ。本書は無頼派作家・伊集院静によるギャンブルや恋愛から、仕事、社会、戦争、死生観まで多岐にわたって「無頼」である事をススめる書である。では、頼るものなしの覚悟はどのようなものであり、どのようにして醸成されるのであろうか。それは、産まれてくる時も死んでいく時も所詮はひとり、しかも己は大した人間ではないとの認識を原点とする。そこにあるのは、無欲の人生である。体制を支配する側にとって無欲な人間ほど厄介なものはない。だから、無頼のレッテルを貼って排除しようとするのだ。 私は著者とは同年代ということもあって、本書には全般的に同感できる部分が多かった。特に自らの「違和感」を信じて、生きものとしての勘を磨くとの一節は、頷くことしきりであった。最近、テレビの情報番組を見ていて時々違和感を覚える事がある。多くの場合、コメンテーターと呼ばれる文化人顔した人が出てきた時に抱く想いだ。誰もが羨むキャリアが紹介され、立派なスーツを着て理路整然とまくし立てるしたり顔に胡散臭さを感じるのだ。これは私だけのことで、歳をとったからなのかと一抹の不安を感じていたが、同様な事が本書に書かれてあり、我が意を強くした次第だ。 もう一つ、著者の生死感についても触れておきたい。著者が考える死とは、自分の村自分の路地へと帰る事だという。つまり、自分が初めて「孤」であると知った場所へと帰っていくことである。例えばあくせくした都会でずっと生きていたなら、自分の路地へ帰るからもう静かにしてくれ、といって一人で死ぬことである。死をこのように捉えるのは、日本人が古代から抱いてきた自然と一体化した循環生死感と似通っており、比較的受け入れやすいのではなかろうか。蛇足ながら「セックスは一回毎に死を味わう」「ギャンブルも同様」はどうにも理解できなかった。
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