
もののけの日本史
死霊、幽霊、妖怪の1000年
中公新書 2619
小山 聡子
2020年11月24日
中央公論新社
1,100円(税込)
人文・思想・社会 / 新書
モノノケは、古代・中世において、正体不明の死霊を指した。病気や死をもたらす恐ろしい存在で、貴族たちを悩ませた。近世に入ると幽霊や妖怪と混同され、怪談や図案入りの玩具などで親しまれるようになる。近代以降、根拠がないものとして否定されつつも、怪異は根強い人気を博し人びとの興味をひきつけてやまない。本書は、モノノケの系譜をたどりながら、日本人の死生観、霊魂観に迫る
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2020年発行
2020年発行。「もののけ」とはなにか、を考えるとき、それがどの時代に語られているかによって意味が異なるということが忘れられているのではないか、というところから本書は出発しています。古代から現在まで「もののけ」という言葉がどのように表れているか、すなわち日本で語られる「もののけ」の通史。この世のならぬものが発する「気」であった「もののけ」が、正体がわからないが病や死をもたらす存在にあてはめられ、さらに「他者を傷つける横暴な言動を自重させる装置」の役割をも追加されます。もののけに取り憑かれるのは貴族や武士であり、中世には調伏の専門家(陰陽師、僧、憑坐や巫女など)が登場し、その方法やあり方が複雑化していきます。あまりに複雑化したためか、中世後期になると「密教修法は、民間への浸透とともに、世俗化、平易化」していったというところが面白いです。近世になると「もののけ」は、それまで区別されていた妖怪やお化けなどとまるめて「娯楽化」されますが、これは医療の発達に伴い病と結び付けられなくなったことによります。そして明治に入って、政府の神道国教化政策による神仏分離令や修験道廃止の打撃を受けますが、娯楽の中でしぶとく生き残り、文学作品によって厳しい自然の中に棲む精霊の姿を獲得、それは戦後になって高度経済成長に伴う開発に抗するメッセージを込めたアニメ作品「もののけ姫」に結実します。人間社会の周縁部に追いやられたところから、マイノリティを象徴する語にもなっている、というのは初めて知りました。「もののけ」は人間の、あらゆるものとの関係性を照らす言葉だなあと思います。
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