有悠無憂

ゆとりあればうれいなし

中公文庫

玉村豊男

2000年2月29日

中央公論新社

586円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

我が家は最近“泰西名画”の世界である。袋のタネをすくっては、振りまくように均等に落としていく。『種をまく人』である。その夜の食卓のまんなかには、うちでとれたジャガイモ…。ゴッホの『馬鈴薯を食う人々』そのままだ。寝室の隅で妻が繕い物をしているようすは…あ、そうだフェルメールの『レースを編む女』だ。私はよく笑いすぎて、疲れた頬を左右の手で押すのだが、ムンクの『叫び』に似ている…。

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