
余白の愛
中公文庫
小川洋子(小説家)
2004年6月30日
中央公論新社
748円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
耳を病んだわたしの前にある日現れた速記者Y。その特別な指に惹かれたわたしが彼に求めたものは…。記憶の世界と現実の危ういはざまを行き来する。幻想的でロマンティックな長篇。瑞々しさと完成された美をあわせ持つ初期の傑作。
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(無題)
余分な脂や血液はすべて氷に吸い取られ、残っているのは、しなやかな足、若々しい爪、ピンと立った耳、利発そうな目、可愛らしい斑点模様、そういう選ばれた部分だけです。それらは汚されることなく、閉じた氷の中に存在し続けます。
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