韓国のキリスト教

東洋叢書

柳東植

1987年11月1日

東京大学出版会

2,970円(税込)

人文・思想・社会

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2.3 2018年01月29日

儒教文化圏と言っても良い東アジアで、日本のキリスト教徒は人口の1%程度、韓国のキリスト教徒は人口の29.2%、韓国人の約3割がキリスト教徒である。これは仏教より信者の数が多い。キリスト教信者数は約1376万人で、韓国は東アジアおよび東南アジアでの信者絶対数では、中華人民共和国、フィリピン、インド、インドネシアに次ぎ5位である。国民全体に占めるキリスト教信者の割合ではフィリピンと東ティモールに次ぐ東アジアおよび東南アジア第3のキリスト教国である。 韓国のキリスト教 韓国で基督教といえばプロテスタントを指す。カトリックは天主教と呼んで区別している。教会はプロテスタントの教会を指し、カトリックの教会は聖堂と呼ぶ。 教派間の拡大競争は、大統領選挙の動向や、北朝鮮支援事業に強い影響を及ぼす一方、しばしばカルトや他宗教との衝突といった社会問題を引き起こしている。本書は、18世紀以降の朝鮮半島における受難の布教開始から、世界最大の教会を首都ソウルに置くにいたった現在までを追い、日本では報じられなかった韓国社会の実情と問題を解き明かす一冊である。 韓国ではカトリックよりもプロテスタントの信者が多く、プロテスタントには大型教会(メガ・チャーチ)と呼ばれる信者数1万を超える教会が多数存在している。また、そうした教会は大規模な伝道集会の開催によって規模の拡大をはかってきていて、1970年代以降、ビリー・グレアムなどの世界的に著名な牧師がやってきて巨大集会が開催され(グレアムが韓国で開催した伝道集会は集会の世界記録)、現在も大型教会では大規模な日曜礼拝が行われている。 さて「恨」を精神性の根底に持つ朝鮮民族の心の中にキリスト教がどのように入り込み、融合して行ったのかが一番興味のあるところである。著者によるとそれは、日本による植民地支配などの「民族的苦難」が韓国人に「イスラエル的選民思想」のあてはめを進めたというものである。劣等感を裏返しにした居丈高な物言いには、選民思想が確かにありそうだ。最近の李明博大統領の竹島上陸を始め、その後の対応など、国際社会から見て常軌を逸している。単に国際常識に欠けるのであれば、成長・成熟と共に常識を身につけていけるが、これが神によって選ばれた選民思想によるとすれば、暴走もあり得るし、たいへん危険なことだ。国をあげての常軌を逸した行動は、私ばかりでなくとも、危惧の念を抱くだろう。  

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