暗殺者の潜入 上
ハヤカワ文庫NV
マーク・グリーニー / 伏見 威蕃
2018年8月21日
早川書房
946円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
“グレイマン(人目につかない男)”と呼ばれる暗殺者ジェントリーは、パリにあるシリアの亡命者組織から仕事を依頼された。それは、シリアの独裁者アッザムの愛人ビアンカを拉致することだった。彼女が握る機密情報を公表し、独裁政権を倒そうというのだ。予期せぬ勢力から襲撃されるが、拉致は成功した。だが、ビアンカの協力を得るには、彼女とアッザムの間にできた愛する息子を、シリアから連れ出さなければならなかった。
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toruo
(無題)
暗殺者グレイマンシリーズの邦訳最新。今、一番優れたアクション・シリーズと思うのだけど本作もまだ勢いを保っている。元CIAの軍事組織で最高級の腕前とされていた主人公、身に覚えのない理由でCIAから「見つけ次第射殺」とされていたのも昔の話、今はCIAからも発注を受けるフリーランスの立場で活動している。本作ではシリアの反政府組織からフランスに来ているモデルを拉致してほしいという依頼を受ける。このモデルがシリアの大統領の愛人で、内戦を止め得る情報を持っているからということだったのだが…拉致してみるとシリアに大統領との間に産まれた子供を残してきているということが分かってしまう。仕方なく民間軍事会社の戦闘員に偽装して内戦中のシリアに渡り、子供と子守の二人を救い出すという困難に挑む、という話。冒頭から主人公がイスラム国に処刑されつつある捕虜の状態で現れる作品。ゴルゴ13の小説版と思って貰えばだいたい間違いないのだが、本作はシリア内戦という現在進行形の危機を舞台に名前こそ変えてあるが実在のシリア大統領夫妻を彷彿とさせる人物も出てきてよりリアルな印象。強力な悪役も出てきて今後もますます目が離せないシリーズ。
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