解錠師
ハヤカワ・ミステリ文庫
スティーヴ・ハミルトン / 越前 敏弥
2012年12月8日
早川書房
1,034円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
八歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイク。だが彼には才能があった。絵を描くこと、そしてどんな錠も開くことが出来る才能だ。孤独な彼は錠前を友に成長する。やがて高校生となったある日、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり、芸術的腕前を持つ解錠師に…非情な犯罪の世界に生きる少年の光と影を描き、MWA賞最優秀長篇賞、CWA賞スティール・ダガー賞など世界のミステリ賞を獲得した話題作。このミステリーがすごい!2013年版海外編。2012年週刊文春ミステリーベスト10海外部門第1位。
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The lock artist。どんな鍵も芸術のような手業で開けてしまう金庫破りの物語です。ところが、主人公のマイクは収監中の身です。そのマイクの回想という形で物語は進行していきます。しかも物語は断片的に語られるため、彼が口を利かなくなったのはなぜか、また、なぜ彼はいま獄中にいるのか、この二つの謎をずうっと引きずりながらお話が展開されます。ひとりの孤独で繊細な少年が、残酷な運命に翻弄されながらも、あるべき自分を見出してゆく姿を、鮮やかに描き出しています。 主人公マイクは、8歳の時の出来事から言葉を失ってしまい、それから一度も話していません。そんなマイクには2つの才能がありました。1つは絵を書くこと、そしてもう1つはどんな錠も開くことが出来る才能です。マイクは歳を重ねるごとに才能が様々な出来事により開花し、やがて芸術的腕前を持つ解錠師になります。 この小説は、ただの犯罪物語でもミステリー小説でもありません。青春物語と恋愛物語も同時進行しているのです。ヒロインのアメリア、マイクはこのアメリアのためにどんどん事件に巻き込まれるのです。そして、言葉のない彼らの絵を通してのコミニュケーションには、純粋な美しさが漂います。 もう一つ、この小説を面白くしているのが「解錠シーン」です。指先の感覚だけでが頼りです。その模写は主人公の心情なども含めてとてもスリリングで迫力に満ちています。
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古今東西の本棚
金庫破りの青春
17歳の言葉をしゃべれない少年は金庫破りの天才だった。少年の告白で物語は進んでいく。ミステリーと銘打っていますが、どちらかというと青春小説でありながら犯罪小説でもあります。解錠のテクニックが詳しく、とても読み応えのある作品です。
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